2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16KT0107
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩瀬 英治 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (70436559)
|
Project Period (FY) |
2016-07-19 – 2019-03-31
|
Keywords | フレキシブルデバイス / 自己修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己修復配線の基礎的・学術的な研究を行った。具体的な検討項目としては、材料・液体封止の 、修復電圧・修復領域の拡張 などの検討を行った。 材料・液体封止の検討に関しては、まずアガロースゲルを用いたゲル化とシリコーンオイルを用いた不揮発性溶媒化の2つを検討した。いくつかの条件(例えば、直径5nm金ナノ粒子分散水溶液を0.1%アガロースゲルでゲル化したもの)では修復が確認されたものの、修復時間が長くなる、修復する・しないが安定しないなどの問題点があった。また、これまで用いてきた 金ナノ粒子分散水溶液に関しては、シリコーンゴムで封止する手法を確立した。 また、修復電圧・修復領域の拡張に関しては、これまで、修復可能なき裂が幅4μmまでに限定されていたことの原因を解明し、幅30μm程度の大きなき裂も修復できるようになった。これは、電圧印可により、ナノ粒子がき裂を架橋し修復した後に、修復部に生じるジュール熱によってナノ粒子の架橋が破壊されるためであった。修復後に架橋部に流れる電流が過度にならないように工夫をすることで、ジュール熱による再破断が起こることなく30μm程度の大きな幅のき裂が修復可能となった。原理的には、さらに大きなき裂幅も修復可能であると見込めるが、フレキシブルデバイスにおいて伸展時に生じる自然に生じるき裂が幅10μm程度であることから、30μm程度のき裂が修復できることは十分な修復能を有していると言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の検討項目を行うことができた。具体的な結果としては、ゲル化や不揮発性溶媒化は問題点も多く利用は難しいという知見が得られた一方で、修復条件の精査により幅30μm程度の大きなき裂が修復可能になった。 これまでの幅4μm程度まで修復可能であったということに対して、7.5倍拡張したという "量的" な進展ともとれるが、これ以上に「フレキシブルデバイスにおいて伸展時に生じる自然に生じるき裂の幅10μm程度」を超えたという "質的" な進展が非常に大きな意味を持っている。これまではフレキシブルデバイスの伸展により配線が破断した後、伸展を戻さないと修復ができなかったものが、伸展による破断後すぐに修復が可能となるという大きな違いを有する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度、フレキシブルデバイス化を進めるにあたり大きな進展が得られたため、自己修復配線を用いたフレキシブルデバイスの実証を進める。 一方で、基礎的・学術的な研究も重要であると捉えているため、本年度行ったような検討も引き続き継続してゆく予定である。
|
Causes of Carryover |
学会発表に関して、当該年度を予定していたものが、次年度となったものがあったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表等、研究遂行に必要な費用に用いる。
|
Research Products
(8 results)