2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17002014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 嘉典 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 教授 (20212326)
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Keywords | 遺伝学 / ゲノム |
Research Abstract |
生殖細胞で見られる減数分裂では、1回のDNA複製の後に2回の連続した染色体分配が起き、その結果、半数体の配偶子が形成される。このとき、減数第一分裂では、組み替えを終えた相同染色体が両極に分配され、続く減数第二分裂で姉妹染色分体が両極へと分配される。正確な減数第二分裂を行うためには、減数第一分裂後にも姉妹染色分体間の接着がセントロメアで保たれることが必要である。この接着を保護する因子として分裂酵母で同定されたのが、セントロメアタンパク質シュゴシンSgo1である。シュゴシンは真核生物に広く保存されたタンパク質であり、さらに、ヒトのシュゴシンは体細胞においてもセントロメアに局在し、体細胞分裂での姉妹染色分体間の接着の保護に必須の役割を果たすことも分かっている。しかし、シュゴシンがどのようにしてセントロメアに局在しているのかは不明であった。今回、我々はこのシュゴシンのセントロメア局在化機構の解明を目指して研究を行った。まず、シュゴシンsgo1の相互作用因子を探索したところ、ヘテロクロマチンタンパク質Swi6/HP1が得られた。swi6はセントロメアを含むヘテロクロマチン領域に局在し、セントロメアにおいてSgo1と共局在する。また、swi6破壊株ではSgo1が正常にセントロメアに局在できないということも分かった。さらにこのSwi6によるSgo1の局在化は、両者の直接の結合を介しており、Swi6と結合できないSgo1は正常にセントロメアに局在できず、減数第一分裂時に姉妹染色分体間の接着を保護できないために、減数分裂の染色体分配に異常をきたすということも分かった。さらに、このヘテロクロマチンタンパク質によるシュゴシンのセントロメア局在化という機構は、ヒトのSwi6ホモログHP1とhSgo1の間でも保存されており、生物種を超えて広く保存された機構であるということも併せて示した。以上の研究から、これまで役割が不明であったセントロメアのヘテロクロマチンの一義的な機能が明らかになった。 [連携研究者]東京大学分子細胞生物学研究所 作野剛士
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Research Products
(11 results)