2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17012005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 維紹 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (50133616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 智彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50285144)
柳井 誘元 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70431765)
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Keywords | インターフェロン / IRFファミリー / p53 / 樹状細胞 / 発がん抑制 |
Research Abstract |
(1) IRF5による発がん抑制と抗腫瘍免疫応答の制御メカニズムの解明 ; IRF5欠損マウス由来細胞を用いてIRF5が細胞のアポトーシス感受性に及ぼす影響を解析した。その結果、IRF5遺伝子を欠損した細胞では野生型に比べアポトーシス誘導に対する感受性が向上することを明らかとし、またこの感受性向上は細胞の種類によって異なる刺激条件およびシグナル伝達経路に対して作用することを見いだした。さらにヒトがん細胞を用いがん転移マウスモデルにおいてIRF5欠損マウスが野生型に比べ高頻度のがん転移を生ずる現象についての詳細な解析を進め、IRF5が免疫応答において、いかなる細胞群に作用してがん転移を抑制するかについて解析し候補細胞の絞り込みを進めた (2) DNAによる炎症性免疫応答惹起と発がんの関係の解明 ; 細胞はDNA刺激によりI型インターフェロン分子を放出することが知られるが、今回マウス細胞を用いて構成的に発現するI型インターフェロンのシグナルについて細胞のがん化への影響を解析したところ、このシグナル系が細胞のがん化抑制に重要な働きをすることが明らかとなった。この結果は本年度論文として発表した(Chen et al.)。また、かねてより進めていたDAI遺伝子ノックアウトマウスの作成に成功した。今後はこの遺伝子改変マウスおよび該当マウス由来細胞を用いてDAIの詳細な分子作用機序の解析を進める予定である。 (3) Noxa発現によるがん治療法の開発 ; がん細胞へのNoxa分子導入効率改善を目指しHIV由来の蛋白Tatの細胞膜透過ドメインTAT-PTDとNoxaを融合した新規蛋白製剤TAT-Noxaを精製した。またTAT-Noxaのアポトーシス誘導能をヒト乳がん由来細胞およびヒト健常乳腺細胞を用いて検討したところ、がん由来細胞のみに細胞死を誘導することを確認した。これらの成果をまとめ、本年度論文として発表した(Suzukietal.)。また、TAT-Noxaは非感染性であり臨床への応用が考えられるため、今後臨床応用に向けた研究開発を進めるため米国にて特許出願の仮申請を行った。 (4) TLR刺激シグナルのクロストークと新しい抗腫瘍免疫誘導メカニズムの解明 ; TLR3の新規アゴニスト探索システムを確立することに成功した。今後はこれを用いてアゴニスト分子の探索を行う予定である。
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