2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17012011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山中 伸弥 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (10295694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和利 京都大学, 再生医科学研究所, 特任助手,研究員(科学研究) (80432326)
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Keywords | ES細胞 / 分化多能性 / ノックアウトマウス / 初期化 / 腫瘍幹細胞 |
Research Abstract |
研究の目的 ES細胞と腫瘍細胞は、増殖や未分化維持の分子機構において共通点が存在することが予想される。ES細胞で特異的に発現する遺伝子群(ECAT : ES cell associated transcript)は正常成体組織では発現しないが、多くのヒト腫瘍細胞中での発現が示唆されている。このことはECAT遺伝子群の発現が腫瘍細胞の不死化や脱分化に関与している可能性を示唆する。本研究では、この可能性を検討するために次の研究を行う。 A.ECAT遺伝子群の遺伝子ノックアウトによる機能解析 B.ECAT遺伝子産物の生化学的解析 C.ECAT遺伝子産物の腫瘍細胞における発現と役割の解析 本年度の研究成果 A.ECAT遺伝子群の遺伝子ノックアウトによる機能解析 ECAT1、ECAT15-1、ECAT15-2、ECAT16およびECAT17について、ノックアウトES細胞およびマウスの作製を行った。これまでにECAT15-1およびECAT15-2ノックアウトマウスはそれぞれ胎生致死であることが示唆されている。現在、ノックアウトES細胞の樹立を試みている。 B.ECAT遺伝子産物の生化学的解析 ECAT15-1およびECAT15-2はホモダイマーおよびヘテロダイマーを形成することが明らかとなった。またこれらの蛋白質は核に局在し、ユークロマチンに存在していることが示唆されている。 C.ECAT遺伝子産物の腫瘍細胞における発現と役割の解析 Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4の4因子をマウス線維芽細胞に強制発現させることによりES細胞に類似した多能性幹細胞(iPS細胞)が誘導されることを明らかにした。またSox2以外の3因子を導入すると形態や増殖能はES細胞に類似するが多能性はない細胞が樹立される。これらの結果はごく少数の遺伝子の活性化により体細胞が幹細胞の性質を獲得することを示唆しており、腫瘍幹細胞の一部は組織幹細胞ではなく、分化細胞に由来にする可能性が考えられる。
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Research Products
(13 results)