2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014077
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
宮崎 香 Yokohama City University, 木原生物学研究所, 教授 (70112068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 昌市 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助教 (10275076)
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Keywords | がん転移 / MMP / マトリライシン / ラミニン / プロテアーゼ / 細胞接着分子 / 細胞移動 / 浸潤 |
Research Abstract |
がんの浸潤・転移に関与する細胞外マトリックス分子とそれらを分解するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の研究を行った。MMPsはがんの浸潤・転移に必須の役割を果たし、その特異的な阻害剤は抗転移作用を示すと考えられる。私たちは既にβ-アミロイド前駆体蛋白質(APP)にMMP-2を選択的に阻害する活性が存在することを見出し、そのインヒビター領域を同定した。今回、その阻害因子(APP-PI)のMMP-2に対する結合部位を明らかにし、その阻害機構を解明することができた。これまで多くのMMP阻害剤が開発され、その抗がん作用が報告されてきた。しかし、それらの阻害剤は多種のMMPの活性を非特異的に阻害するため、副作用が強く、医薬としては不適当であった。これまで、特異性の高い阻害剤は開発されていない。そのため本研究において、MMP-2に特異的なAPP-PIの阻害機構を解明したことは重要な意義をもつと考えられる。一方、MMP-7は大腸がん細胞の細胞膜上のコレステロール硫酸(CS)に特異的に結合して肝転移を促進することを既に明らかにした。今回、MMP-7のCSへの結合部位を明らかにするとともに、このMMPが基底膜タンパク質であるラミニン5を分解することを明らかにした。これらの結果は、がん転移に特に重要と考えられる両MMPに対する高特異性の阻害剤を設計する上で貴重な情報となる。以上の結果に加え、がん浸潤マーカーであるラミニンγ2鎖の作用に関する研究を進めた。ヒト胃がん細胞株においてラミニンγ2鎖モノマーがTGF-βなどの刺激によって強く発現し、それに伴ってこの細胞が上皮-間葉変換を起こすこと、さらにγ2鎖モノマーがこの細胞の移動を促進することなどが、明らかになった。これらの結果はがん浸潤先進部位で発現するラミニンγ2鎖モノマーが、がんの浸潤に積極的に寄与することを示唆する。
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Research Products
(7 results)