2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17015027
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野口 眞三郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10303942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉木 康博 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10273690)
三好 康雄 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50283784)
金 昇晋 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90346213)
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Keywords | 乳癌 / 悪性度 / 薬剤感受性 / 細胞増殖 / レドックス / タキサン / アンスラサイクリン |
Research Abstract |
本研究の目的は、乳癌の発生増殖に関与すると考えられる種々のバイオマ-カーを用いた乳癌の個性診断の臨床的意義を明らかにすることである。(1)予後診断:増殖速度の早い乳癌の予後は不良である。乳癌の増殖速度は通常Ki-67の染色程度、thymidineやBrdUの取り込み、flowcytometry等で測定されるが、これらの診断法の最大の問題点は、手技が煩雑なため標準化が難しく一般検査として普及が困難な点にある。そこで我々は、標準化可能でかつ従来法よりもより精度の高い細胞増殖速度の診断法として細胞増殖の制御に最も重要な働きを果たしていると考えられるCDK (cyclin-dependent kinase)に着目し、その活性の予後因子としての意義を検討した。その結果、乳癌組織におけるCDK2/CDK1活性比が、特に、リンパ節転移陰性乳癌症例において、Ki-67やcyclin Eよりも優れた予後因子であることを明らかにした。更に、CDK2/1活性比が従来の病理学的因子よりも高精度に乳癌の予後を予測し得ることを示した。(2)化学療法感受性診断:ATAC-PCR法による遺伝子発現プロファイル解析によってドセタキセル感受性乳癌と非感受性乳癌で発現が有意に異なる遺伝子を抽出したところ、redox関連遺伝子(thioredoxin, GSTP1 etc.)、b-tubulin等が抽出された。Thioredoxin, GSTP1, b-tubulinについては乳癌組織の免疫染色による発現解析がドセタキセル感受性の予測に有用であることを明らかとした。また、CDK2/CDK1比活性はアンスラサイクリン系薬剤およびタキサン系薬剤の効果予測にも有用であることを示した。以上の成果は何れも今後の臨床応用が期待される成果であり、特にCDK2/CDK1比活性に関しては、現在、多施設共同研究を実施中である。
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Research Products
(10 results)