2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17015051
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
神奈木 玲児 Aichi Cancer Center Research Institute, 分子病態学部, 部長 (80161389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
卓 麗聖 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00399031)
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Keywords | セレクチン / CD44 / ヒアルロン酸 / エピジェネティック・サイレンシング / hypoxia inducible factor (HIF) / シアリルルイスX / シアリルルイスa / 細胞接着分子 |
Research Abstract |
細胞表層の糖鎖には接着分子としての機能を持つものがある。癌細胞では糖鎖が変化し、これによって細胞接着能に大きな変化が生じる。特にセレクチンを介した細胞接着は、癌細胞においてシアリルルイスXやシアリルルイスaなどのセレクチン特異的な糖鎖リガンドの発現が増大することによって亢進し、腫瘍血管形成や血行性転移を媒介する。癌細胞ではCD44とヒアルロン酸糖鎖との結合を介した細胞接着も亢進し、これにより腫瘍細胞の運動能が亢進する。癌細胞におけるこうした糖鎖を介した細胞接着の亢進は、癌細胞の糖鎖発現の変化によって生じるが、癌細胞で糖鎖が変化する機構は、発癌早期においては、正常型糖鎖を合成する一連の遺伝子のエピジェネティック・サイレンシングが主原因の一つとなっていることを我々は明らかにした。一方、進行期の癌においては、癌細胞の低酸素抵抗性の獲得とともに機能亢進する転写因子hypoxia inducible factor (HIF)が、一連の糖鎖合成遺伝子の転写を誘導することが大きな要因となっていることを我々は明らかにした。しかもこれらの変化は、互いに関連している。癌細胞におけるセレクチンの糖鎖リガンドの発現は糖鎖遺伝子のエピジェネティック・サイレンシングにより誘導され、HIFによってさらに亢進する。これによって、癌細胞ではCD44蛋白分子もまた糖側鎖にセレクチンの糖鎖リガンドを強発現するようになる。このようなCD44分子は、一方でCD44本来のリガンドであるヒアルロン酸への結合能を保持しており、他方でセレクチンのリガンドとしても働き、一分子で二種類の細胞接着を強力にひきおこすようになる。このようた複合的な変化によって、癌細胞の細胞接着が異常に亢進することが判明した。
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Research Products
(8 results)