2006 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ミセル型ナノキャリアによる薬物・遺伝子デリバリー
Project/Area Number |
17016017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 一則 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (00130245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 裕一 東京大学, 大学院工学系研究科, 講師 (00322678)
西山 信宏 東京大学, 大学院工学系研究科, 講師 (10372385)
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Keywords | ドラッグデリバリー / 高分子ミセル / がん化学療法 / 遺伝子治療 / siRNA / がん標的治療 / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
本年度は、Dachplatin内包ミセルに関してブロック共重合体の組成の最適化を行い、ミセルの肝臓および脾臓への集積を抑制することに成功した。これによって、腫瘍に対する高い選択性が達成され、Oxaliplatinでは制ガン活性が認められなかったマウス大腸癌(C-26)モデルに対する治療効果が確認された。また、ミセル投与後の体重減少もブロック共重合体の組成の最適化によって軽減されることが分かった。このようなDachplatin内包ミセルの転移がんに対する治療効果を検討するために、luciferaseを発現するHeLa細胞を腹膜内に播種したマウスにミセルを全身投与したところ、Oxaliplatinでは治療効果が認められなかったが、Dachplatin内包ミセルはluciferase発光量を顕著に減少させ、転移がんに対しても高い治療効果を示すことが明らかとなった。一方、高分子ミセル型遺伝子ベクターに関しては、内核がジスルフィド(SS)架橋により安定化されたシステムを開発した。32P標識DNAを用いて体内動態を評価したところ、SS架橋導入ミセルは、SS架橋を導入していないミセルと比較して有意に長期化された血中滞留性を示することが確認された。さらに、SS架橋導入ミセルの表層に、腫瘍血管の内皮細胞やがん細胞で過剰発現が認められるαVβ3インテグリンに対して特異的に結合する環状RGDペプチドを装着したシステムを開発した。環状RGD導入ミセルは、αVβ3インテグリンを発現するHeLa細胞に対して迅速に細胞核近傍へと移行し、リガンドを導入していない高分子ミセルよりも著しく高い遺伝子発現を示した。また、siRNA内包ミセルについては、内核にSS架橋を導入したシステムにより顕著に高いsiRNA活性が確認された。
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Research Products
(8 results)