2005 Fiscal Year Annual Research Report
がん増殖・転移におけるバイオイメージングとターゲティング型DDS開発
Project/Area Number |
17016035
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋田 充 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20135594)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30243041)
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40273437)
川上 茂 京都大学, 薬学研究科, 助手 (20322307)
|
Keywords | DDS / ターゲティング / がん / 活性酸素消去酵素 / リボソーム / 高分子ミセル / イメージング / 癌転移 |
Research Abstract |
平成17年度は、癌転移過程の定量的評価法および癌転移抑制法の開発を目的に、癌細胞の転移過程における詳細な動態を解析するため遺伝子導入操作による発光タンパク発現癌細胞株の樹立および新規癌ターゲティング型DDS製剤の開発をおこなった。癌転移過程の定量的評価法に関しては、発光タンパク(ホタルルシフェラーゼ)発現癌細胞株の樹立に成功し、癌転移増殖過程の定量評価をおこなったところ、従来の癌結節数を計測する方法と比較して約1000倍高感度であった。また、in vivoバイオルミネッセンスイメージングシステムを用いて癌細胞分布の観察により癌増殖・転移過程を評価したところ、従来法である経時的な臓器摘出法により測定した結果とよく対応していることを確認し、癌転移・増殖過程を非侵襲的方法により評価することに成功した。次に、癌ターゲティング型DDSを実現するためのDDS製剤に関して、腫瘍組織に高発現しているプロテアーゼであるマトリックスプロテアーゼ2(MMP2)に着目し、MMP2によって酵素的に切断されるペプチド配列(MMPp)を組み込んだ新規ポリエチレングリコール(PEG)-MMPp-脂質誘導体の合成をおこない、これを含有するステルス性-MMPpリポソームを調製した。MMP存在下(1-10μg/ml)、リポソーム中のMMPpはMMP濃度依存的に切断され、PEG離脱により癌細胞へのリポソームの積極的な取り込みが観察された。一方、MMP2を発現しないマクロファージへのステルス性-MMPpリポソームの取り込みは低かった。よって、有効な癌ターゲティング型DDSキャリアとなり得ることが示された。また、分化誘導剤である全トランス型レチノイン酸を効率的に封入し、癌組織へターゲティング可能な新規高分子ミセルの開発にも成功した。以上、癌転移過程の定量的評価ならびに癌ターゲティング型キャリアの開発に成功した。
|
Research Products
(6 results)