2006 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌転移の臓器微小環境特性から見た分子標的治療法の開発
Project/Area Number |
17016051
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
曽根 三郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40145024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 聖二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (30294672)
柿内 聡司 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (50380100)
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Keywords | 肺癌 / 多臓器転移 / VEGF / 血管新生 / 可溶性VEGF受容体 / MYO18B |
Research Abstract |
肺がんの多臓器への転移形成は臨床上重要な問題であり、新しい治療法の確立が切望されている。多臓器転移制御の標的分子として血管新生因子VEGFに着目し、VEGF受容体阻害薬が転移巣における腫瘍血管内皮細胞選択的にアポトーシスを誘導し血管新生を阻害することにより、肺癌細胞株のSCIDマウスにおける多臓器転移形成を抑制することを明らかにした。さらに、血管透過性を抑制することにより、癌性胸水形成も著明に阻害することを見出した。また臨床検体を用いた検討にて、癌性胸水が漏出性胸水と比較しVEGF濃度が高く、可溶性VEGF受容体(sVEGFR)の濃度が低いことを明らかにし、sVEGFRのVEGF中和作用を利用した癌性胸水治療の可能性を報告した。また、癌遺伝子として知られるSrcの阻害が肺癌細胞の運動能、浸潤能だけでなく、血管新生も抑制し、その結果肺転移形成および皮下移植された腫瘍の増大を阻害することをこれまでに報告していたが、今回新たにこの血管新生抑制作用がvascular endotherial-cadherinとbeta-cteninの相互作用の増強を介する効果であることを明らかにした。 肺癌と同じ呼吸器系腫瘍である悪性胸膜中皮腫については、臨床での進展様式や治療応答性を再現する同所移植モデルを作成し、VEGF阻害がその治療に有用である可能性を示した。また、新規癌抑制遺伝子MY018Bの強制発現によって胸膜中皮腫細胞の増殖能および運動能が抑制されることを示し、上記同所移植モデルにおいて、胸腔内腫瘍増殖能および胸水形成能が有意に低下することを報告した。これらの結果からHDAC阻害剤などによるMY018B遺伝子発現回復は悪性胸膜中皮腫に対する有効な治療法になり得ることが示唆された。
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Research Products
(9 results)