2007 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌転移の臓器微小環境特性から見た分子標的治療法の開発
Project/Area Number |
17016051
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
曽根 三郎 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40145024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 聖二 金沢大学, がん研究所, 教授 (30294672)
西岡 安彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (70274199)
埴淵 昌義 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80335794)
柿内 聡司 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50380100)
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Keywords | organotropism / マイクロアレイ / プロテオーム解析 / 脳転移 / 骨転移 / 癌性胸水 / VEGF / 蛍光気管支鏡 |
Research Abstract |
肺癌転移の臓器特異性organotropismを規定する微小環境因子を同定し、それらを標的分子とした臓器特異的分子標的治療を開発することを目的に、肺癌のQOL阻害因子として特に臨床上問題となる骨転移および癌性胸膜炎に主眼をおいて研究を進め、以下の成果を得た。 cDNAMicroarray解析により骨転移巣で発現が上昇していた遺伝子群を同定し、その中からTGF-βファミリーに属するactivinのアンタゴニストであるFollistatin(FST)に着目し、肺癌の多臓器転移形成における役割について検討した。小細胞肺癌細胞株へのFST遺伝子導入は、invitroでの細胞増殖能、運動能、浸潤能、およびin vivoにおける皮下腫瘍の増殖能に有意な影響を及ぼさなかったが、血管新生を阻害しNK細胞除去SCIDマウスにおける多臓器の転移形成を著明に抑制した。よって、FSTは骨のみならず多臓器における転移抑制因子であることが示唆された。 一方、種々の疾患に生じた胸水中の血管内皮増殖因子(VEGF)関連物質を測定することにより、VEGFおよびAngiopoietin-2のみならずVEGFの内因性拮抗物質である可溶性VEGF受容体1(sVEGFR-1)も滲出性胸水中に存在することを示した。また、sVEGFR-1レベルは非血性胸水に対して血性胸水で低下していたことから、sVEGFR-1が血性胸水誘導因子であるVEGFの活性を修飾し、血性胸水形成を制御している可能性が示唆された。 さらに、肺癌早期発見における蛍光気管支鏡の有用性を検討する目的で123名のhighrisk患者に蛍光気管支鏡を施行し、全282生検組織中、93病変(33.0%)が前癌病変あるいは癌病変であったこと、蛍光気管支鏡と通常気管支鏡の比較では、前癌病変の検出感度が前者で有意に高率であることを示し、前癌病変検出における蛍光気管支鏡の有用性を示唆した。
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Research Products
(15 results)