2006 Fiscal Year Annual Research Report
メダカゲノム・EST情報と突然変異体を駆使した発生・再生システムの解明
Project/Area Number |
17017003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 洋幸 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (80179647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 明 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (70178002)
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Keywords | メダカ突然変異体 / Hox / ポジショナルクローニング / メダカヒレ形成 / メダカゲノム / 左右軸 / ゼブラフィッシュ / 器官形成 |
Research Abstract |
平成18年度では、武田研究室および工藤研究室で以下のような成果が得られた。 武田研究室 (1)昨年度クローニングに成功したメダカ左右軸異常変異体knt(ut016)の原因遺伝子の機能解析を行った。Kntは繊毛、鞭毛のダイニンアーム形成に必須な新規タンパク質であることが判明した。 (2)肝臓の後期発生に異常を示すメダカ変異体aA7の原因遺伝子を同定することに成功した。aA7は鉄代謝に必須なABCトランスポーターをコードしていた。この変異体の肝臓は、いわゆる脂肪肝の表現型を示している。マイクロアレイによる解析により、aA7ホモ変異体と正常胚(孵化1-2日目)の肝臓で、鉄代謝に関係する多くの遺伝子の発現に差があることが判明した。 (3)シミュレーションとゼブラフィッシュを用いた移植実験の相互検証により、分節時計は細胞を単位とする多数の小さな時計がノッチ・デルタを介して同調するという、いわゆるcoupled-oscillatorの性質を持っていることが判明した。また、同調の過程で細胞間の"遺伝子発現のばらつき"が最小化され、からだの中で正確に時が刻まれていることも判明した。 工藤研究室 心臓、血球、血管、骨、ヒレ形成、ヒレ再生に異常のあるメダカ突然変異体の中で、既に10種類の変異体の原因遺伝子を確定した。 (1)ヒレ形成変異体ufiの原因遺伝子はHoxb8であり、魚における初めてのHox familyの変異体であった。 (2)心筋形態異常を示す変異体sdcの原因遺伝子はfilamin Cであった。filamin Cは心筋・骨格筋の形成に機能する細胞内蛋白であり、アクチン重合を制御している。 (3)椎骨異常の突然変異体の原因遺伝子は、体節形成の必須遺伝子、Notch1であった。また、解析の過程で、メダカにおいても骨リモデリングの存在が明らかになった。 (4)血管形成において、器官形成の基盤となるメダカ血管発生のアトラスが完成し、メダカはゼブラフィッシュに比べて、哺乳類に近い血管発生様式を持つことが明らかになった。
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Research Products
(7 results)