2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17017017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 滋 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (10252503)
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Keywords | チューリング / ゼブラフィッシュ / 皮膚模様 / 反応拡散 / ネットワーク |
Research Abstract |
色素細胞相互作用にかかわる分子の特定 黒、黄の2つの色素細胞が共存してパターンを作っている野生型のゼブラフィッシュと、黒色色素細胞のみが存在するパンサー変異体から黒色素細胞を精製し、DNAマイクロアレイにより、黄色色素細胞との相互作用依存的に発現する遺伝子を同定した。そのうち、5つのクローンに関して黒色色素細胞特異的、あるいは黄色色素細胞特異的なプロモータの制御下に野生型のゼブラフィッシュに発現させたところ、1つのクローンに関しては、模様変異が観察された。現在この遺伝子が本当に模様形成に関与しているかどうかについての解析を進めている。縞模様の幅が大きくなるジャガー変異に関して2つ進展があった。この変異は縞の幅が太くなるという興味深い変異であり既に原因遺伝子が内向き整流Kチャンネル(Kir7.1)であることがわかっている。しかしながら発現ヒベルが低いため、どの細胞で発現しているのか、同細胞で発現することが必要であるかについては不明であった。今回、黒色素細胞に特異的なプロモータの制御下で変異体にKir7.1を発現させたところ、模様形成の回復が観察された。このことから、Kir7.1は黒色素細胞で発現することが模様形成に必要であることがわかった。また、Kir7.1のこれまでに見つかった変異遺伝子は、Kイオンの透過性を欠くものであった。今回新たな変異アレルの遺伝子に関する解析を進めていたが、新しいアレルの変異では、両向きにイオンが流れるらしい。いずれにしろ、Kチャンネルの変異は静止膜電位に影響を与えることが考えられ、膜電位や細胞間隙のイオンの動態が模様形成を正常に起こすために重要であることがわかってきた。一方、模様が斑点になるレオパード変異に関しては黒色素胞特異的なプロモータでの強制発現では、模様形質の買う服が見られず、こちらの場合は黒色素細胞単独で働くのではないらしい。また、原因遺伝子であるconnexin41.8がどのような形で働くのか(gap junctionを作るのかあるいはヘミチャンネルとして働くのか)に関しては、強制発現系を使っていずれの状態でも存在していることを観察した。このどちらが模様形成に必要なのか(あるいは両方)は今後の研究課題である。 細胞の移動能力 黒色素細胞の移動に関し、前年度にこの細胞は常に同種の細胞から離れようとすること、その効果はごく短距離でのみ働くことを報告したが、今回、その効果が他の模様変異体でも見られるかどりかを調べた。その結果、ジャガー変異体ではこの移動傾向が見られないことが明らかになった。ジャガーの変異には、黒色素細胞と黄色素細胞が混在する領域があり、それが分離しない理由のひとつが移動性の欠如である可能性がある。
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Research Products
(7 results)