2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17022025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 一郎 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (60181351)
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Keywords | 両眼立体視 / 両眼視差 / ステレオビジョン / 側頭葉 / 腹側視覚経路 / V4野 / 視覚情報処理 / ランダムドットステレオグラム |
Research Abstract |
両眼立体視のための情報処理は大脳皮質一次視覚野(V1野)ではじまる。V1野細胞は網膜像に含まれる、特定の空間周波数成分のエネルギーを計算することにより両眼視差を検出する。この比較的単純な処理により、V1野細胞は、両眼で輝度が反転した刺激の両眼視差をも検出してしまう。また、せまい空間周波数帯域をもつ刺激(サイン波グレーティングなど)に対しては、両眼視差応答性が周波数に依存して変化する。これらのV1野の細胞活動は、知覚される奥行きを正しく表現していない。輝度反転刺激では、両眼間で像の対応がないために奥行きは知覚できず、また刺激の奥行きは空間周波数成分には依存しないからである。 われわれは、空間周波数成分ごとに検出された両眼視差信号が統合されることにより、両眼像対応の処理が進み、奥行きを正しく表現するような細胞活動がつくられるのではないかという仮説を高次視覚領野のひとつV4野において検証した。サルに注視課題を行わせ、V4野から単一神経細胞の活動を細胞外電位記録法により記録した。ランダムドットステレオグラム(RDS)を用いて各細胞の両眼視差感受性を測定した。両眼で輝度が一致したRDSと輝度が反転したRDS(aRDS)を用いた。また、各細胞について空間周波数感受性も測定した。その結果、幅広い帯域の空間周波数に選択的に応答する細胞では、aRDSに対する両眼視差感受性は減弱していた。2次元の帯域通過ノイズ刺激を用いてさまざまな空間周波数帯域での両眼視差感受性を測定した結果、多数のV4野細胞は、刺激の空間周波数成分が変化しても、両眼視差感受性は変化しなかった。これらの結果から、さまざまな空間周波数帯域からの両眼視差信号の統合が、両眼像対応のための情報処理に含まれることが示唆された。またV4野における両眼立体視の奥行き表現は、V1野での表現とは異なり空間周波数成分に依存せず、、より奥行き知覚に相関していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)