2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17022025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 一郎 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 教授 (60181351)
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Keywords | 両眼立体視 / 両眼視差 / ステレオビジョン / 側頭葉 / 腹側視覚経路 / V4野 / 視覚情報処理 / ランダムドットステレオグラム |
Research Abstract |
両眼に得た2つの網膜像に基づいて視覚世界を立体的に知覚する能力、両眼立体視は、両目に与えられた網膜像の要素同士が全域にわたり対応して初めて機能する。このような大域対応を持たないようなステレオグラムを見ても、3次元構造を知覚することはできない。しかし、一次視覚野やMT野、MST野の細胞は、このようなステレオグラムに含有されている両眼視差を視差エネルギーの形で符号化して伝えている。この神経シグナルを脳が奥行きの知覚に利用しているかどうかについては、長年、互いに一致しない研究結果が多く報告され続けてきたが、近年、影響力の強い論文が出版された結果、視差エネルギー情報は、奥行き知覚には、そのままの形では反映されないというのが、当該分野め常識となっていた。 本研究において行った実験および理論モデルシミュレーションにより、両眼大域対応のないランダムドットステレオグラム(両眼像が輝度反転しているステレオグラムまたは両眼像の間に時間遅れをもたせたステレオグラム)においても、奥行きの知覚は生じるものの、奥行き判断は、両眼視差エネルギーの符号のそうようになされることを示した。また、大域対応がないと実現できないはずである「奥行き面の知覚」は消失することを示した。 「視差エネルギーシグナルは奥行き知覚に反映されない」という両眼立体視研究における常識を覆し、「両眼対応点問題が解決されていない神経シグナルであっても、脳が奥行き判断に用いている」ことを示した。また過去の研究の混乱を整理し、なぜ誤った常識のもととなる実験結果がえられてきたかの理由を解明し、その上で、近年急速に進展した両眼立体視の脳内メカニズムの生理学的知見との整合性を示した。
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Research Products
(32 results)