2006 Fiscal Year Annual Research Report
特異的シナプス形成過程に関与する分子の同定と動態観察
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17024010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
能瀬 聡直 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30260037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷藤 高子 (森本 高子) 東京薬科大学, 生命科学部, 准教授 (10311648)
高須 悦子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (30282718)
高坂 洋史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (20431900)
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Keywords | シナプス形成 / 細胞接着分子 / ショウジョウバエ / 神経回路形成 / 運動神経 / 筋肉 / イメージング / ファシクリン |
Research Abstract |
本年度は、標的認識の後、いかにして特定のプレとポスト細胞間にシナプスが構築されるのかを明らかにするため、シナプス部に存在する機能分子の動態をin vivoで可視化し、その集積機構を明らかにすることを試みた。特に、細胞接着分子を介した細胞間相互作用の役割に着目した。細胞接着分子のシナプス形成への関与は、主に培養細胞を用いた実験で示されてきたが、生体内での機能は未だ不明である。本研究において我々は、シナプス形成が進行する位置と時期がほぼ正確に決まっていて生体内での解析が可能な、ショウジョウバエの神経筋結合を用いて、細胞接着分子ファシクリン2(Fas2)のシナプス形成における役割や動態を解析した。 ショウジョウバエの神経筋結合系において、運動神経細胞と筋肉は両者ともに細かい突起を伸ばして互いを認識し、特定の接触を安定化することにより、シナプス部を形成する。我々はこの過程における、Fas2(NCAMホモログ)と、Dlg(PSD-95ホモログ)の動態と機能に着目した。これら分子はPDZドメインを介し結合することが知られている。まず、GFPとの融合蛋白質(Fas2-GFP、Dlg-GFP)を特定の筋肉において発現することにより、これら分子が形成直後の後シナプス部に集積することを見いだした。さらに1.Fas2-GFPの後シナプス部への局在は、プレのFas2に依存するがDlgには依存しない、2.Dlg-GFPの後シナプス部への局在はFas2に依存する、3.細胞内領域を欠くFas2欠失分子でも後シナプス部に局在する、という知見を得た。以上の遺伝学的証拠から、プレのFas2が細胞外領域における直接的な相互作用によりポストのFas2をシナプス部へと集積させ、さらにポストのFas2が細胞内の相互作用を通じて、Dlgをシナプス部に集積させるという、トランスシナプティックなシナプス誘導の機構の存在が浮かびあがった。以上の結果は、細胞接着分子によるトランスシナプティックな細胞間相互作用がシナプスの誘導に関与することの生体内での証拠を提出するものである。
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Research Products
(2 results)