2009 Fiscal Year Annual Research Report
特異的シナプス形成過程に関与する分子の同定と動態観察
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17024010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
能瀬 聡直 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30260037)
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Keywords | 神経標的認識機構 / シナプス / マイクロアレイ / ショウジョウバエ / 神経筋結合 / Toll / Tey / LRR(leucine-rich repeat) |
Research Abstract |
発生過程において神経細胞はいかにして,その標的細胞を正しく見つけだすのか.この問いに答えるため、以前の計画において,異なる運動神経細胞によって支配されている隣り合った筋肉12及び筋肉13に着目し、これら標的筋肉間において発現に差のある遺伝子を、比較マイクロアレイ解析を用いて、多数同定した。本計画においては、これら遺伝子の機能解析により、新たな標的認識分子としてTollを同定するとともに,Tollの転写制御に関わる分子としてTeyを同定した。Tollは,筋肉13に選択的に発現するLRR(leucine-rich repeat)膜タンパク質である.Tollの機能欠失および異所発現の影響を調べた結果,Tollが筋肉12を支配するべき運動神経細胞に対し阻害的に働きかけることにより,それらが正しい標的細胞(筋肉13ではなく筋肉12)と結合するよう制御していることを見いだした.次に,Tollの転写制御因子として筋肉12に特異的に発現する核タンパク質Teyを同定した.Teyの機能欠失変異体では,Tollが筋肉12において異所発現していた.逆にTeyを筋肉13で強制発現させると,筋肉13におけるTollの発現が減少した.さらにこれら変異体における神経投射の解析から,TeyがTollの発現抑制を通じて,神経支配の特異性を決定していることを示した.以上の結果は,阻害因子の負の転写制御により,標的特異性が決定される仕組みを初めて明らかにするものである.
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Research Products
(3 results)