2005 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミック有機-無機ハイブリッド構造体の創製と界面光プロトン移動反応
Project/Area Number |
17029049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川東 利男 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (40038477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 芳雄 九州大学, 大学院理学研究院, 助教授 (00221086)
網本 貴一 九州大学, 高等教育総合開発センター, 助手 (60294873)
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Keywords | フォトクロミズム / 光異性化 / 有機結晶 / サリチリデンアニリン / メソポーラスシリカ / MCM-41 / プロトトロピー / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
1.サリチリデンアニリン類(シッフ塩基類)の結晶フォトクロミズムの発現機構解明に関連して、嵩高い置換基を導入した2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾール類を合成し、それらの結晶フォトクロミズムを観測することができた。シッフ塩基類の光着色種にはC=N周りのE-Z異性化により生成するtrans-ケト体が含まれていると考えられているが、この化合物ではC=Nが環構造に取り込まれているためにそのような構造変化は起こらないことから、光着色種としてcis-ケト体の存在も示唆された。 2.新奇超分子プロトン移動システムの構築に有用な有機色素の開発研究に大きな進展が見られた。アミノインダゾール類の2-ニトロベンジリデンシッフ塩基類は結晶状態でフォトクロミック挙動を示すことを初めて見いだした。着色結晶は室温では全く退色せず、加熱によってのみ逆反応が進行するというのは、既存のプロトトロピック有機結晶にはないこの系の大きな特徴である。加えて、溶液中や固体中単分散状態では別の不可逆的光反応が進行してフォトクロミズムは示さなくなることから、結晶中での分子の会合状態がフォトクロミズム発現に深く関与していることがわかった。 3.フォトクロミック有機-無機ハイブリッド構造体の創製を目指し、トンネル状の空孔を有する新奇無機ホストの開発も徐々に進展しつつある。フォトクロミック色素であるシッフ塩基類はメソポーラスシリカMCM-41中では容易に分解を受けるが、これをトリメチルシリル基や鎖状アルキル基で修飾すると、安定に包接されるようになる。結晶状態でフォトクロミズムを示さないシッフ塩基を修飾MCM-41中に取り込ませたハイブリッド固体を調製したところ、光反応に伴って黄色から橙色への色調変化が観測された。このように、修飾MCM-41とシッフ塩基とのハイブリッド化は光感応固体の構築に有用な手段であると言える。
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Research Products
(1 results)