2005 Fiscal Year Annual Research Report
固体酸化物形燃料電池における高温反応場界面形成の科学
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17041009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊地 隆司 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40325486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 敏明 京都大学, 工学研究科, 助手 (90378802)
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Keywords | 固体酸化物形燃料電池 / YSZ / LSM / LSM / 通電効果 / 電流電圧特性 / 交流インピーダンス測定 / 界面 |
Research Abstract |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、高温作動のため種々の燃料を用いて発電が可能で、他の熱機関との複合化により高効率発電が可能であるという特長を持つ。一方で、高温作動であるがゆえに構成材料が限られており、コストの低減、セルの信頼性・耐久性の向上が求められている。特に、高温発電下においては構成材料の凝集・材料間の反応が起こりやすく、反応場である電極・電解質界面の制御は重要な課題である。界面状態が電池性能に影響を与える現象として、通電による発電性能の変化が挙げられ、これは一般的に通電効果として知られている。このような現象の発現過程について、電極/電解質接合界面、電極内の電子・イオン導電体と金属粒子(Ni)の接合界面に着目して研究を進めた。YSZ(イットリア安定化ジルコニア)管を電解質として用いた管型セルを用いて、1400℃において200mA cm-2の電流密度で定電流を流したところ、緩やかな端子電圧の低下が見られた。これは燃料極側でNiのシンタリングが徐々に進行している影響であると考えられる。Ni含有量を減らしたサーメット(NiO:Ysz=3:2)においても、Niのシンタリングによる性能低下が見られ、劣化挙動に違いは見られなかった。カソードとしてLSM(La0.6Sr0.4MnO3)を用いた場合には、通電後1.5時間ほど経過した時に、端子電圧が向上する通電効果が見られた。これはカソードにLSMを用いた場合にのみみられる変化であった。次に、燃料極にNi-ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、電解質にScSZ、カソードにLSMを用い、800℃での発電初期、および200mA cm-2の電流密度で定電流を24時間、48時間通電し、インピーダンス測定を測定した結果、カソード側の抵抗の低減が大きく、発電特性の向上に関連していることが分かった。したがって、この場合にも通電による性能向上は、カソードもしくはカソード/電解質界面に起因していると考えられ、どのような変化が生じ発電特性が向上するかを、今後、X線回折測定、界面の電子顕微鏡等を用いた観察により、界面構造を解析し、明らかにする必要がある。
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Research Products
(2 results)