2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストンアセチラーゼ阻害因子複合体によるRNA依存性転写抑制機構の解明
Project/Area Number |
17054036
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
黒川 理樹 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70170107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 重紀 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (10383259)
大吉 崇文 埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (80406529)
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Keywords | ヒストンアセチラーゼ / TLS / RNA結合タンパク質 / CBP |
Research Abstract |
<RNA依存性転写抑制モデルの提唱> TLS(Translocated in Liposarcoma)は、脂肪肉腫患者の染色体転座による融合遺伝子として同定された、RNA結合性タンパク質である。我々は、TLSがcAMP応答性転写因子CREB結合タンパク(CBP)複合体中に存在し、ヒストンアセチル化酵素(HAT)活性に対して抑制的に働くことを明らかにしている。本研究課題では、TLSと結合するGGUG-RNA配列を用いて、複合体形成やHAT阻害効果に対するRNAの影響を解析し、GGUG-RNAと結合したTLSはCBPとより強く結合して、HAT阻害効果を増強することを明らかにした。HATは真核生物の転写に対して活性化に働いていることから、RNA結合型のTLSを介したCBP-HAT阻害機構「RNA依存性転写抑制モデル」の存在を提唱した。 <グアニン4量体(Guanine Quartet : G4)構造を有するRNAの機能解明> 細胞内におけるG4構造はテロメアや糖尿病関連遺伝子プロモーター上などの染色体DNA上に形成されることが予測されているが、G4構造を形成するRNA分子の機能解析は少なく、生物学的意義は不明であった。GGUG-RNAはG4構造を形成するRNAであることから「RNA依存性転写抑制モデル」は、G4-RNAの機能の一部を示した最初の例である。GGUG-RNA以外に、代表的なG4構造を有するテロメア配列(TTAGGG)4についても同様に解析し、G4構造を形成する塩濃度条件下においてのみテロメア配列(DNA、RNA)が、TLSと結合しHAT阻害促進効果を有することを明らかにした。
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Research Products
(2 results)