2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17063006
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
前川 和也 国士館大学, イラク古代文化研究所, 共同研究員 (60027547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 徹 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80116665)
依田 泉 常磐大学, 国際学部, 助教授 (40285747)
森 若葉 京都大学, 大学院文学研究科附属ユーラシア文化研究センター, 研究科外研究員
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Keywords | シュメール / アッカド / メソポタミア / シリア / アムル / 楔形文字記録システム / 前3千年紀 / 前2千年紀 |
Research Abstract |
本研究は、前4千年紀末にメソポタミア南部においてシュメール人が楔形文字記録システムを成立させた経緯、また前3千年紀や2千年紀に、それがどのようにして南部メソポタミアをこえ、北部メソポタミアやシリア地方において、諸民族とりわけセム系アッカド人やアムル人に受け入れられていったかを解明することを目的としている。 今年度はまず、前3千年紀や前2千年紀においてシュメール人世界とセム人世界が深い交渉をもっていた事実事態の把握に努めた。補助金はおおく、そのための基礎資料、文献購入に充てられている。また2005年12月23日および2006年3月25日〜26日には、京都において研究会をもち、それぞれの分担研究成果の報告をおこなった。なお本年度は、研究協力者として、堀岡晴美氏に前3千年紀中葉のメソポタミア諸都市の相互交流の研究を、また川崎康司氏に前3千年紀や2千年紀中部メソポタミア地域における王権イデオロギーの研究を依頼した。12月23日研究会での報告は、特定領域研究「セム系部族社会の形成」平成17年度全体報告書において「「シュメール文字文明」の成立と展開」班の研究成果として公表する。 前川和也は、前3千年紀の後半にメソポタミア、シリア各地でウマ科諸動物の呼称が共通していたこと、また北部メソポタミアは戦車用の動物としてペルシアノロバをシリアや南部メソポタミアに輸出していたという重大な事実を確定できた。いわばウマ科諸動物が「シュメール文字文明」の一体化を象徴する。また前川は、前2千年紀のシュメール語文学作品「マルトゥの結婚」を分析して、メソポタミア都市生活者からみたセム系アムル人(マルトゥ)部族観の復元に成功している。前田徹は、南部メソポタミアにおいてセム系アッカド人がシュメールの都市国家体制を克服して領域国家を成立させたときに、どのように新たな王権イデオロギーが生まれたかを考察している。また森若葉は、前3千年紀にシュメール語とアッカド語は、文法体系がまったくことなるにもかかわらず、いかに深刻に相互に影響を与えていたかを、言語学的に考察することができた。
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Research Products
(11 results)