2005 Fiscal Year Annual Research Report
超並列大規模量子ダイナミクスシミュレータの開発・応用
Project/Area Number |
17064009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森川 良忠 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (80358184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 光雲 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (60178647)
濱田 幾太郎 大阪大学, 産業科学研究所, 招へい研究員 (80419465)
柳澤 将 大阪大学, 産業科学研究所, 特任研究員 (10403007)
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Keywords | 第一原理分子動力学法 / 並列計算 / 有機・金属界面 / 電気化学反応 / 燃料電池 / シリコン / ホウ素 / 不純物拡散 |
Research Abstract |
本研究では高効率で高精度な第一原理分子動力学シミュレータを開発し、複雑であるが実用上重要な様々な系に対して適用していくことを目指している。今年度は、森川、濱田、柳澤は、第一原理分子動力学シミュレータ「STATE-Senri」の計算効率を高めるために、バンド並列に加えk点並列も導入し、二重の並列計算をMPIで可能にした。地球シミュレータ上でOpenMPによるノード内並列も行った。平行して、有機/金属界面、特にAlq_3と金属電極との界面での構造、電子状態の解析を進め、界面電気二重層は主として分子の持つ電気双極子に起因すること、双極子の向きによって界面での電子準位接続が大きく変わること、実験的に観測されている界面準位の起源を明らかにした、等の成果があった。また、電気化学反応の基本であり、燃料電池の水素極で起こる反応の逆反応である、水素発生反応について、電場、および、溶媒の水の効果を共に取り入れたシミュレーションを開始した。白井は第一原理擬ポテンシャル法のプログラム「Osaka2k」に相対論的取り扱い、また分子動力学法の手法としてはメタダイナミックスの手法を取り入れた。また、これを用いて、シリコン中でのCuの拡散過程を調べた。実験で求まっている高温での拡散定数と良い一致を得た。Cuのように比較的重い原子でFP-MDを成功させたのはこれが初めてである。シリコン中でCuは格子間TサイトからHサイトを介して拡散してゆく様子が解明された。Cuとホストのシリコンとの結合が非常に弱いことが明らかとなった。また、ホウ素の有限温度・圧力下での安定性について研究を進めた。この系での代表的な相、αとβ相を比較して、底温ではα相が安定であることを示した。しかしながら高温ではフォノンの寄与が効いてきてβ相が安定となることを解明した。さらに圧力下での自由エネルギーも計算し、全体を併せてpT相図を作ることに成功した。
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Research Products
(19 results)