2006 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体のダイナミックスとイオン性の評価に基づく機能設計
Project/Area Number |
17073009
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
渡邉 正義 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60158657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今林 慎一郎 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教授 (50251757)
小久保 尚 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助手 (80397091)
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Keywords | イオン液体 / ダイナミックス / イオン性 / 磁場勾配NMR / イオンクラスター / 極性評価 / プトロン輸送 / 電子輸送 |
Research Abstract |
イオン液体はイオンのみからなる液体とされる。確かに化学式で書けばイオンからなる液体であるが、もしそうだとすればどうして溶媒無しでイオン解離できるのであろうか?本研究はこの素朴な疑問から「イオン液体とは何か?」という問題にアプローチしている。具体的には、イオン導電率測定と磁場勾配NMR測定から得られるモル導電率比が、「イオン液体のイオン性を表すパラメータ」になり得るという観点で研究を進めた。このイオン性のパラメータと、従来から研究のあるソルバトクロミズムプローブを用いた極性評価結果を併せ考えることで、イオン液体の性質の理解を図った。イオン液体の性質は、カチオンとアニオンとの組み合わせによって決まるため、無限といえるほどの多様性がある。しかし、欲しい性質の溶媒を使用者がデザインして設計するDesigner Solventという考え方や、欲しい機能を設計して持たせたTask-Specific Ionic Liquidの考え方を推し進めるためには、イオン液体の性質を表すパラメータの提出は重要な研究と考えるからである。さらに、イオン液体中で網目構造の高分子を合成することにより、高分子網目の中にイオンが閉じこめられた新しい高分子固体電解質を開発し「イオンゲル」と名付けた。このイオンゲルは、柔軟、透明な固体膜として得られ、室温で10^<-2>Scm^<-1>程度の高イオン伝導性を示す。これらイオン液体やイオンゲルのダイナミックスやイオン性を理解するための基礎研究を推進し、その成果に基づき機能設計を根源的理解に基づき進めた。今年度はイオン液体中のプロトン輸送、電子輸送といった特異な電荷輸送の詳細を検討し、無加湿中温燃料電池、有機太陽電池に適用するための基礎を固めた。
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Research Products
(10 results)