2007 Fiscal Year Annual Research Report
G蛋白質シグナルによるリン脂質代謝制御と細胞形態制御の分子メカニズム解析
Project/Area Number |
17079008
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金保 安則 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00214437)
|
Keywords | 低分子量G蛋白質 / ARF6 / 形態形成 / 血管形成 / 管形成 / 肝臓発生 / ノックアウトマウス / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、低分子量G蛋白質のADPリボシル化因子6(ARF6)はリン脂質キナーゼのホスファチジルイノシトール4一リン酸 5一キナーゼ(PIP5K)の活性化因子として機能し、ARF6→PIP5Kシグナル伝達系はラッフル膜形成に重要な役割を果たしていることを明らかにした。このことから、ARF6はPIP5Kを介して様々な細胞の形態形成を制御している可能性が想定される。この点について個体レベルで解析するため、これまでにARF6の遺伝子ノックアウト(KO)マウスを作製して解析した結果、ARF6 KOマウスは、胎生中期に肝臓発達不全を呈し、胎生致死であることを明らかにした。今年度はさらに詳細に解析した結果、ARF6は血管形成においても重要な役割を果たしていることが明らかとなった。すなわち、ARF6 KOマウス胎児においては、頭部で湾曲した異常な血管構造が観察された。さらに、血管内皮細胞マーカーであるPECMA染色してマウス胎児全身の血管走行を解析したところ、ARF6 KOマウスの胎児体表面や卵黄嚢において血管密度の顕著な低下が観察された。また、頭部や背部に複数の浮腫を発症しており、ARF6 KOマウスにおいては血管形成に異常があることが明らかとなった。そこでマウス胎児より血管内皮細胞を単離して管形成能を解析したところ、ARF6 KO血管内皮細胞においては顕著な管形成能の低下が認められた。 これらの結果から、ARF6は血管内皮細胞の管形成に重要な役割を果たしており、個体レベルでの血管形成に必須の因子であることが強く示唆された。
|
Research Products
(9 results)