Research Abstract |
本研究は,脳機能ダイナミックスの解明のため,脳や神経の局所的磁気刺激による神経活動の制御,及び新しい手法による神経電流活動の電流分布イメージングや脳磁図・脳波計測により,高時間分解能,高空間分解を有する新しい脳機能ダイナミックスイメージング法を構築し,脳機能の動的機構の解明に迫る脳機能研究法および脳機能診断技術の確立を目的としている.本年度は以下に述べるような成果を得た. 磁気共鳴イメージング(MRI)の様々な測定条件に対する電流検出感度の理論的限界の依存性を定式化した.NaClを含む導電性ゲルに100μA/cm2以下の微弱な電流を流しながらMRIを取得し,検出感度の理論的限界と実験的限界を比較した.ヒトを測定対象とした場合について,MRIの信号対雑音比を予測し,それを元に,電流検出感度の理論的限界を計算した.その結果,MRIを用いて神経活動に起因する磁場を検出できることが明らかになった. 経頭蓋磁気刺激に関しては,磁気刺激と脳波との同時測定が可能となったが,刺激コイル直下に脳波電極が存在すると,アーチファクトの混入のために脳波計測が出来ないという問題がある.この問題の解決のため,アーチファクトの混入の少ない脳波電極及び電極ケーブルの開発を行った.また,新たに導入した70chDCアンプを用いて,脳波をDC成分から記録し,後処理によってノイズを除去する方法を開発した. 12チャネル高感度磁束計(SQUID)を用いて,視覚刺激によるラット脳磁図の測定を行った.この磁束計は,これまでの磁束計とは異なり,コイルとコイルとの間隔が7.5mmで非常に狭い領域での磁場の測定が可能である.この磁束計を用いてラット脳磁図の測定を行い電流源の特定を行った.次に,微小電極を用いて,脳皮質電位を記録し,電位の発生場所を特定し,脳磁図で推定した電源の位置と比較検討を行った.
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