Research Abstract |
MRIによる神経活動の直接的イメージングに発展し得る新しい測定手法として,神経組織中のナトリウムのMRスペクトロスコピーを行った.実験では,カエルから摘出した坐骨神経を,化学シフト試薬Na_4HTmDOTPを含むリンゲル液に浸した.この試薬は,細胞外空間のみに分布し,ナトリウムイオンと結合して,ナトリウムの磁気共鳴周波数をシフトさせる作用を持つ.したがって,試薬と結合した細胞外のナトリウムと,そうでない細胞内のナトリウムとを,スペクトル上で別のピークとして検出することができる.坐骨神経に電気刺激を加えて,神経活動を生じさせながらナトリウムのスペクトルを取得したところ,細胞外と細胞内に対応するピークの高さの比がわずかに変化した.この結果は,神経活動によってナトリウムが細胞外から細胞内へ流入したことを反映するものと考えられた. 経頭蓋磁気刺激と脳波の同時計測によるダイナミックスイメージングに関して,事象関連電位P300に対する磁気刺激の影響を調べ,左縁状回の課題提示後200ミリ秒後磁気刺激によりP300成分の遅れが観測された.このことは,経頭蓋磁気刺激が脳内の情報の流れを選択的に制御できたことを示すものである. さらに,磁気ナノ粒子を特定のたんぱく質やアミロイドに結合させ、高周波電磁界を印加し、そのエネルギーで有害なたんぱく質集積物を物理的に破壊または分解させることによりアルツハイマー病患者の治療に応用するための基礎的検討として、磁気ナノ粒子とベータアミロイドをいかに結合させるかについて検討を行った。その結果,システインと磁気ナノ粒子が結合し、次に、iAbがシステインと結合することにより、磁気ナノ粒子・システイン・iAb複合体がベータアミロイドと結合することを明らかにした。
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