2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染物質による体内時計の破壊:ヘム-NO-蛋白合成-時計遺伝子のクロストーク
Project/Area Number |
17101002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 透 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40118956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒河 博文 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (80359546)
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Keywords | ヘム / 蛋白合成 / 赤血球 / 時計遺伝子 / 転写因子 / PASドメイン / シグナル伝達 / プロテインマイクロアレイ |
Research Abstract |
1.ヘムによる蛋白合成の制御の研究を行った。その結果、以前から他の研究室より提案されているヘムによるeIF2aキナーゼの阻害の機構とは異なる新規な機構が示唆された。さらに、環境汚染物質などにより、ヘムの分解の機能が不全である場合、赤血球中でのグロビンの合成が阻害され、その結果、過剰のヘムとヘム分解物が蓄積し、活性酸素などが関わる病態が追加的に発現し病状をさらに悪化させる可能性が示唆された。 2.時計遺伝子の転写制御因子であるヘム結合NPAS2とDNAとの相互作用を水晶結晶ミクロバランス(QCM)を用いて研究した。その結果、以前の報告とは異なりヘム結合NPAS2は時計遺伝子のエンハンサー配列E-boxに結合し、しかも、この結合はヘムが結合している場合のみに起きることが判明した。NPAS2の中に2つあるヘム結合PASドメイン、PAS-A、及びPAS-Bドメインへのヘム結合及びその周辺構造について研究した。さらにもう一方の転写制御因子であるBMAL1の大腸菌での大量発現を試みた。しかし、安定な蛋白質が得られなかった。BMAL1の大量発現に最適なtagの探索と同時に、発現系の改良を行っている。 3.ヘム制御機構のモデル系になり得る、ヘムセンサー酵素Ec DOSの分子内シグナル伝達機構についても研究した。その結果、ヘムの結合しているドメインの表面に存在するイオン結合が活性に重要な役割を果たしている可能性、及び、ヘムの上位に位置している疎水性のアミノ酸が、ヘムの電子状態を制御している可能性が示唆された。又、活性と蛋白-蛋白相互作用が密接な関係があることがプロテインマイクロアレイを用いて明らかになった。Ec DOSを遺伝的に欠損させた大腸菌の様々な性質についても調べた。
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Research Products
(5 results)