2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17105005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真嶋 哲朗 Osaka University, 産業科学研究所, 教授 (00165698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤塚 守 大阪大学, 産業科学研究科, 准教授 (40282040)
川井 清彦 大阪大学, 産業科学研究科, 准教授 (50314422)
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Keywords | DNA / 光機能性 / 電荷分離 / 電荷移動 / DNA光損傷 / DNAナノデバイス / DNAエレクトロニクス / デアザアデニン |
Research Abstract |
本研究は、DNAに光機能性分子およびナノ粒子を修飾することでDNAの光機能化を行い、そのDNAを反応場として電荷分離・電荷移動系を構築することを行うと同時に、DNAの自己組織化の性質を利用した分子集合体をデバイス表面に集積させ、DNA光電変換デバイスの構築を行うことを目的としている。 本年度はDNA塩基配列に依存せず電荷が高速に移動するDNAの合成に成功した。DNAはG-C、A-Tの二種類の塩基対の並び方によって、遺伝情報を保管する通常の2本鎖構造に留まらず、世界地図や立方体と言った様々な2次元、3次元のナノ構造の形成に利用することができる。DNAが導線として働けば様々なナノ配線が可能となると期待されたが、電荷が主にG-C塩基対を介して運ばれるため、A-T塩基対の存在により電荷移動効率が大きく低下することがわかった。DNAを用いて自在に2次元、3次元構造を構築するには、様々な塩基対の並び方を持つDNAを使う必要があるため、DNAを用いてナノ配線を達成することはできなかった。そこで、A-T塩基対のAの一つの窒素原子を炭素原子と水素原子の組み合わせに置き換え(Z=デアザアデニン)、A-T塩基対の電子によって占有されている分子軌道のうち最もエネルギーの高い軌道のエネルギー(HOMOレベル)をG-C塩基対のHOMOレベルに近づけることにより、DNAの持つ情報を失わずにA-T塩基対も電荷を運べるように設計したDNAを合成し、G-CとA-T塩基対の並び方に関係なく電荷移動速度の高速化に成功した。つまり、A-T塩基対をZ-T塩基対に置き換えることによって、1,000倍以上電荷移動効率を上昇させ、G-C塩基対により構成されたDNAと同等、あるいはそれ以上の電荷移動効率を得ることに成功した。本研究の成果は、DNAを利用したナノ回路ナノデバイス、ナノセンサーの開発につながると期待される。
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Research Products
(56 results)