2007 Fiscal Year Annual Research Report
更新世から縄文・弥生期にかけての日本人の変遷に関する総合的研究
Project/Area Number |
17107006
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
溝口 優司 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 人類研究部, 研究グループ長 (00110106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 悠男 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 部長 (90049221)
篠田 謙一 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (30131923)
中橋 孝博 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (20108723)
松浦 秀治 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (90141986)
諏訪 元 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (50206596)
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Keywords | 人類学 / 日本人 / 形態 / DNA / 年代 / 更新世 / 縄文時代 / 弥生時代 |
Research Abstract |
形態とミトコンドリアDNAのデータに基づいて、日本列島住民の身体形質が、更新世から縄文〜弥生移行期まで、いかに変化したかを明らかにし、新たな日本人形成過程のシナリオを構築する。これが本研究の最終目的であるが、第3年度の平成19年度には、以下のような調査・分析を行なった。 1 旧石器時代人骨の形態と年代の再検討:港川人1号頭骨の脳容量を三次元マイクロCTによって再検討し、従来よりもかなり小さい推定値(1335cc)を得た。沖縄山下町洞穴出土の旧石・器時代の子ども人骨を縄文時代のものと比較した結果、ホモ・サピエンスとして矛盾がないことが判明した。ティピカリティ確率により、縄文時代人の祖先候補として、港川人以外にキーローなど、オーストラリアの化石標本も考慮されるべきことが指摘された。 2 縄文時代早期人骨の形態学的調査とDNA分析:愛媛県上黒岩岩陰遺跡出土の縄文時代早期人骨25体を整理し、見直し分析を行なった。 3 北海道出土の縄文・続縄文時代人骨のDNA分析:東北地方縄文時代人が北海道縄文時代人に多いハプログループを持つことを確認した。 4 弥生時代の枠組み変化による日本人起源仮説への影響の検討:南九州と沖縄の縄文・弥生遺跡出土人骨から試料を収集し、DNA分析を行なった。 5 関東弥生時代人の年代・食性・形態の再検討:弥生時代人の食性分析の前段階として、千葉県の縄文時代中・後期人骨資料の炭素・窒素同位体比を測定し、中期から後期にかけて同位体の傾向はあまり変化していないこと、また、遺跡間でも顕著な違いがないことを明らかにした。 6 頭蓋・四肢骨計測値の地理的変異パターンにおける時代問差の分析:群間変異の原因を探るための基礎的研究として脳頭蓋と顔面頭蓋の計測値の問の群内相関の多変量解析を行なった結果、群間変異の解釈の際にも形質相互相関の性差を念頭におくべきことが指摘された。
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