2008 Fiscal Year Annual Research Report
更新世から縄文・弥生期にかけての日本人の変遷に関する総合的研究
Project/Area Number |
17107006
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
溝口 優司 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 国立科学博物館・人類研究部, 研究グループ長 (00110106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中橋 孝博 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (20108723)
松浦 秀治 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (90141986)
安達 登 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (60282125)
米田 穣 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
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Keywords | 人類学 / 日本人 / 形態 / DNA / 年代 / 更新世 / 縄文時代 / 弥生時代 |
Research Abstract |
形態とミトコンドリアDNAのデータに基づいて、日本列島住民の身体形質が、更新世から縄文〜弥生移行期まで、いかに変化したかを明らかにし、新たな日本人形成過程のシナリオを構築する。これが本研究の最終目的であるが、第4年度の平成20年度には、以下のような調査・分析を行なった。 1港川人の形態学的再検討:港川1号のCT画像から作成した頭蓋腔モデルや下顎骨の形態的特徴を、多数の縄文時代人などと比較することによって、その位置付けを再検討した。 2日本の「旧石器時代人骨」の年代学的分析:「葛生人骨」と山下町第一洞穴遺跡に関する追加分析を行ない、「葛生人骨」のうちの本当の人骨は全て上部葛生層出土獣骨のフッ素含量の範囲から外れていること、山下町第一洞穴から発掘されたシカ化石の出土層位記載に混乱があることなどを指摘した。 3北日本縄文時代人骨のDNA分析:DNA分析により、北海道・東北地方縄文時代人の一部はシベリア起源である可能性が示唆された。 4北部九州の縄文〜弥生移行期に関する人類学的再検討:弥生開始期の年代は500年程度遡らせるべきだとの見解に従って再分析すると、渡来系の人々は、これまで以上に緩やかな増加率で土着縄文人を圧倒し、人口比の逆転現象を起こし得ることが示された。 5縄文・弥生時代人の食生態:人骨試料を使って、縄文早期・中期・後期および弥生(および続縄文)時代での食生態を検討した。結果、植物と魚類の組みあわせという視点では、弥生時代においても、縄文時代から食生態に大きな変化は見られないことが明らかになった。 6頭蓋・四肢骨計測値の地理的変異パターンにおける時代間差分析:縄文・古墳時代人の頭蓋・四肢骨計測値と環境変数の地理的変異パターンを比較した結果、縄文・古墳ともに骨の計測値は緯度や気温と関連していたが、後者を固定して偏相関をとると、縄文・古墳間に関連はなかった。
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Research Products
(69 results)