2006 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティックな異常による消化器癌発生の分子機構と診断・治療への応用
Project/Area Number |
17109008
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
今井 浩三 札幌医科大学, 学長 (60117603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠村 恭久 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90162619)
豊田 実 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70270676)
山本 博幸 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40332910)
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20381254)
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Keywords | エピジェネティクス / メチル化 / 遺伝子診断 / 分子標的治療 / 個別化医療 |
Research Abstract |
本研究ではメチル化により不活化される遺伝子の網羅的解析により、消化器癌の発生と進展におけるエピジェネティックな異常の役割を明らかにし、新しい診断法や治療法開発へ向けた基礎的研究および臨床応用を行うことを目的とする。本年度は、メチル化されている遺伝子の機能解析を行い、RASSF2遺伝子のアポトーシス誘導に核から細胞質への局在の変化が重要であること、CHFRの癌抑制機能に、NF-κB経路の抑制が関与することを明らかにした。また、大腸癌や胃癌におけるWNT経路の活性化には、WNTの制御遺伝子であるSFRP遺伝子ファミリーの異常メチル化が重要な役割を果たすことを報告してきた(Nat Genet, 2004, 0ncogene, 2007)。本年度はWNTの新しい制御遺伝子であるDKK1およびDKK2遺伝子が大腸癌および胃癌において高頻度に不活化されており、消化器癌の発生に重要な役割を果たしていることを明らかにした。DKK1およびDKK2を大腸癌細胞に導入すると細胞増殖を抑制するが、そのメカニズムとして、non-canonicalなWNT経路の関与が示唆された。マイクロサテライト不安定性を有する大腸癌において、腫瘍免疫に関与するHLA関連分子や、血管新生の抑制に関与する分子がエピジェネティックな異常により発現低下していることを明らかにした。これらの腫瘍において、メチル化阻害剤の投与により、抗原提示機能が回復させることにより腫瘍免疫能の活性化が期待される。また、胃癌において、EPHB2遺伝子が高率に変異を認め、EPH/EFNシグナル経路が新たな治療の標的として重要である可能性を示した。
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