2007 Fiscal Year Annual Research Report
アンドロゲンとその標的因子による中枢性肥満と動脈硬化の制御の分子メカニズム
Project/Area Number |
17109009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
名和田 新 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 特任教授 (10038820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳瀬 敏彦 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30239818)
岡部 泰二郎 九州大学, 大学病院, 助教 (40264030)
野村 政壽 九州大学, 大学病院, 助教 (30315080)
西 芳寛 久留米大学, 医学部, 講師 (20352122)
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Keywords | アンドロゲン受容体(AR) / レプチン / LOX-1 |
Research Abstract |
(1)肥満におけるアンドロゲン-AR系による中枢性制御:ARKOマウスの解析からARの抗胞満機序としてレプチンシグナルの増強作用を想定し、検証研究を行なっている。In vitroの系でARはSTAT3転写活性を増強するが、興味深いことに、in vitroの系でARはリガンド非依存性に、低濃度のレプチンが惹起するSTAT3の核内移行を増強する結果を得た。この事実はレプチン脳室内投与下の野性型マウスでは、視床下部弓状核STAT3の顕著な核内発現を認めるのに対し、オスARKマウスではSTAT3の核内発現が明らかに低下していることからも確認された。以上の結果より、アンドロゲンの抗肥満作用機序の一端として、レプチン作用の増強による交感神経活性化作用も関与しているものと考えられる。 (2)アンドロゲンと動脈硬化:オスARKOとApoEKOマウス(動脈硬化モデルマウス)の交配マウスの動脈硬化面積はApoEKOマウス群に比較して有意に強い動脈硬化度を示した。血中脂質レベルには両群間で有意な差を認めなかった。すなわち内因性T-AR系は血中脂質レベルとは無関係に抗動脈硬化性に作用している可能性が示唆された。このことは、New Zealand white rabbitを精巣摘出群、精巣摘出+DHT投与(皮下implant DHT20mg/pellet投与)群に分け、高コレステロール食で飼育し、約10-12週で行なった同様の動脈硬化度評価でもDHT投与は著明に動脈硬化を抑制した成績からも支持された。動脈硬化巣では動脈硬化惹起性蛋白であるヒト酸化LDL受容体のLOX-1の著明な発現低下を認めた。この機序に関して、生理的濃度のDHTは、培養ヒト血管内皮細胞においてTNF-a及びIL-1a誘導性のLOX-1の発現を転写レベルにおいても蛋白レベルにおいてもARを解して抑制することを見出した。DHT-ARは血管内皮細胞への直接作用も含め、抗動脈効果性に作用すると考えられる。
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Research Products
(11 results)