2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内ミクロ環境応答型高分子ミセル型ナノデバイスの創製とがん標的治療への展開
Project/Area Number |
17200031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 一則 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (00130245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 裕一 東京大学, 大学院工学系研究科, 講師 (00322678)
西山 伸宏 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (10372385)
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Keywords | ドラッグデリバリー / 高分子ミセル / がん化学療法 / がん標的治療 / アドリアマイシン / ブロック共重合体 / 放出制御 / pH応答性 |
Research Abstract |
本研究では、制がん剤(アドリアマイシン(ADR))をpH感受性結合を介してブロック共重合体に結合させることにより、細胞内エンドソームに取り込まれた際の局所的なpH変化に応答してADRを放出制御する高分子ミセルを調製し、さらには標的指向性分子を高分子ミセル表層に装着することにより、血中全身投与においても制がん剤ががん細胞のみに特異的に送達可能なシステムの構築に挑んでいる。ブロック共重合体はポリエチレングリコール(PEG、平均分子量12,000)とポリアスパラギン酸(p(Asp))からなり、p(Asp)側鎖にはpH5.5程度の酸性条件下で開裂が可能なヒドラゾンリンカーを介してADRを結合させ、ADRが結合したブロック共重合体(PEG-p(Asp-Hyd-ADR))を得た。さらにはPEG末端に葉酸を有するブロック共重合体(Fol-PEG-p(Asp-Hyd-ADR))を合成し、この自己集合によりパイロット分子を表層に装着するpH応答型制がん剤内包高分子ミセルを調製した。 葉酸を表層に有する高分子ミセルの標的指向性は表面プラズモン共鳴測定により確認するとともに、細胞実験においてもフローサイトメトリーによりその有効性を確認した。ヒト咽頭がん細胞であるKB細胞を用いたin vitro評価では、ADRを単独で作用させたときとほぼ同等の制がん活性を示していることが確認された。KB細胞を皮下に移植したマウスによるin vivo動物実験でも、がん組織の増殖抑制効果が顕著であり、体重減少を伴う副作用なども見られないことを確認した。本システムは、全身投与による制がん剤送達システムとしては、従来型の高分子ミセル送達システムの性能を上回る可能性が高く今後の展開が期待される。
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Research Products
(8 results)