2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内ミクロ環境応答型高分子ミセル型ナノデバイスの創製とがん標的治療への展開
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17200031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 一則 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 裕一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (00322678)
西山 伸宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10372385)
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Keywords | がん / 化学療法 / 制がん剤 / ブロック共重合体 / DDS / 高分子ミセル / pH応答性 / ポリエチレングリコール |
Research Abstract |
pH応答性リンカーとしてβ-チオエステル結合及びアセタール結合を介してカンプトテシン(CPT)を側鎖に導入したブロック共重合体2種類を合成し,粒径60-120mmの血中循環に適したCPT内包高分子ミセルを調製した。pH応答性は後者のみで確認され,pH7.4で安定なアセタール結合は腫瘍組織に対応するpH5.5で開裂し,逆相HPLCによってCPTの放出が確認された。難治がんへの高分子ミセルの治療効果を検証するため,蛍光標識白金錯体制がん剤内包高分子ミセルを用いて腫瘍組織浸透性を検討した結果,低い血管密度と厚い間質のために高分子の集積性が低いことが確認されている膵がんモデルにおいて,高分子ミセルが腫瘍深部まで分布していることが示唆された。 昨年度までに,新生血管内皮細胞やがん細胞で過剰発現するαvβ3インテグリン受容体を認識する環状RGDペプチドをミセル表面に導入した結果,リガンド分子が有効に機能することが確認されたが,今年度はこの要因を精査した結果,リガンド導入ミセルはカベオラ介在型エンドサイトーシスを介しカベオソームに局在し,効率的に核近傍に輸送される可能性が示唆された。また,様々な腫瘍特異的リガンドの導入が可能な制ガン剤内包高分子ミセルのプラットフォーム構築を目指し,ミセル表面にマレイミド基を導入するためのブロック共重合体の新規合成法について,特に水中でのアジド基と末端アルキンによる環化付加反応(Click Chemistry)に着目して検討した。Click Chemistryに必要な両官能基(アジド基,プロパルギル基)を末端に導入したヘテロニ官能性PEGの合成法を確立し,PEG鎖同士及びPEG鎖とポリアミノ酸のカップリングが可能であることを確認した。さらに末端にアジド基と一級アミノ基を持つ新規ヘテロ二官能性PEGからのLys(TFA)-NCAの重合も確認した。
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Research Products
(4 results)