2005 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ礁における炭酸系ダイナミクスと地球環境変動の関係の統合解析
Project/Area Number |
17201006
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大森 保 琉球大学, 理学部, 教授 (00045022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新垣 雄光 琉球大学, 理学部, 助教授 (80343375)
又吉 直子 琉球大学, 理学部, 講師 (50295292)
棚原 朗 琉球大学, 機器分析センター, 助教授 (00217100)
藤村 弘行 琉球大学, 理工学研究科, COE研究員 (20398308)
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Keywords | サンゴ礁 / 炭酸系 / ダイナミクス / 地球環境変動 / アルカリ度 / 群集代謝量 / 二酸化炭素 / 骨格年輪 |
Research Abstract |
グローバルな地球環境変動に対するサンゴ礁の応答と役割を明らかにするために、以下のように炭酸システムの時系列観測を継続し、数値モデルに解析をおこなった。 1.瀬底島サンゴ礁における炭酸系成分(pH、DO、アルカリ度、PCO2、塩分)を15分毎に6年間計測した。 従来の計測法では、アルカリ度計測値の信頼度が低いので、自動計測装置を導入し、本格的な計測のための準備をおこなっている。瀬底島サンゴ礁における過去6年間の生物群集代謝量の時系列変動をまとめて、日本サンゴ礁学会年会(2006、沖縄)において発表した。 また、炭酸系成分と環境計測項目の時系列データの周期解析をおこなった結果、水深の変動と光量子の変動が独立した周期変動をしめしたが、他の成分の周期は、その合成された周期変動を示す可能性が示された。これについては、21世紀COE成果発表会にて発表した。 2.サンゴ礁における観測値から群集代謝量を求める数値モデルを構築し、瀬底島サンゴ礁およびレユニオン島サンゴ礁で検証し、よい結果を得た。また、ラジカル物質のサンゴの代謝に与える効果について、室内におけるサンゴ飼育実験をおこなった。これらの成果を、EGU(Europian Geoscience Union)General Assenbly 2005(Vienna, Austria)で発表した。 3.サンゴ礁生物の炭酸塩骨格年輪に記録された過去の海洋環境変動の記録を解析した。とくに硬骨海綿の骨格年輪の解析をおこない。Mg/Ca比が水温変動に応答していること、および鉛やプルトニウムなどの重金属元素を選択的に濃縮しており、これら元素のモニタリングに適した環境指標生物であることがわかった。プルトニウムの精密分析により、琉球列島周辺海域におけるプルトニウム同位体比が変動した可能性が示唆された。その原因解明のための調査研究が必要である。沿岸海域における有害物質の分布と挙動の研究をおこなった。これらについては、日本地球化学会年会(2006年、沖縄)において発表した。 4.今年度に瀬底島サンゴ礁に設置した全アルカリ度自動計測装置は、30分ごとに海水のサンプリングとろ過を自動的におこない、分析精度0.3%の再現性で、自動分析できる装置である。また、赤外線ガス分析装置をも設置して、海水中の二酸化炭素濃度変動の観測を開始した。これらの観測結果は、従来の観測と合わせて炭酸系ダイナミクスの解析に利用する。
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Research Products
(6 results)