2006 Fiscal Year Annual Research Report
富士山山体を観測タワーとして利用したエアロゾル諸特性の鉛直的観測研究
Project/Area Number |
17201007
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
五十嵐 康人 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 主任研究官 (90343897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 葉子 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (90165415)
兼保 直樹 産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門地球環境評価グループ, 主任研究員 (00356809)
小林 拓 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (20313786)
大河内 博 早稲田大学, 理工学術院・理工学研究科, 助教授 (00241117)
三浦 和彦 東京理科大学, 理学部, 講師 (00138968)
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Keywords | 自由対流圏 / 大気化学観測 / 富士山 / エアロゾル / SO_2 / BC / ダスト / COS |
Research Abstract |
本年度は、富士山測候所(標高3776m)、7.8合(3,200m)及び太郎坊(1300m)、名大太陽研富士観測所などの諸地点において、2006年7月24日-29日に集中観測を、また8月末まで可能な項目について観測を実施した。観測項目は、昨年度よりやや充実した。新たな試みとして、山小屋等にパッシブサンプラーや簡易気象測器の設置を行った。今年度は、電源事情が悪く、データ収集がとびとびとなった観測項目が多い。 山頂の観測では、SO_2はほぼ日内変動がみられないのに対し、サルフェートは、夜低く、昼に濃度が上昇する変動を示した。昼間にはサルフェートは下層から上層へ輸送され(谷風)、山頂がその影響を受けていることがわかった。この状況は個数粒径分布にも現れ、夏季に自由大気エアロゾルを観測するには、時間帯を選ぶ必要があることがあらためてわかった。 山頂でのSMPSによる観測では、8月上旬にnmスケールの微小粒径にピークが見られ、新粒子生成を捉えた可能性が大きい。非水溶性粒子については、風向風速別のサンプリングを試みた。山頂がBG条件では粒子のモード径はあまり時間変化せず、カスケードインパクターで採取した試料の電顕写真から、フライアッシュの存在が疑われた。 エアロゾル光吸収係数の波長依存性については、日中のBC濃度上昇時と夜間の低濃度時に明確な違いがみられ、高濃度時は、スペクトルの傾きがほぼ一定で波長の-1乗に従う。これに対し、低濃度時に傾きは約1.5となり、森林火災由来の煙の吸収係数に近い。BG条件では森林火災由来の粒子が存在しているのかもしれない。 霧水のpHは山頂よりも山麓の太郎坊で低く、NO_^-3/SO_4^<2->比は太郎坊で高い。揮発性有機物の観測では,芳香族系炭化水素が降水(雨水・霧水)中にヘンリー定数による予測に比べ、高濃度に含まれていた。この濃縮にはフミン様物質の関与のあることを推定した。
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Research Products
(13 results)