2006 Fiscal Year Annual Research Report
砂漠からの風送ダスト発生全過程解明のための観測・理論・モデルによる総合的研究
Project/Area Number |
17201008
|
Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
三上 正男 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 室長 (60354510)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長島 秀樹 立正大学, 地球環境科学部, 非常勤講師 (10087570)
石塚 正秀 香川大学, 工学部安全システム建設工学科, 助教授 (50324992)
山田 豊 理化学研究所, 先端技術開発支援センター, 先任技師 (70392165)
|
Keywords | 風送ダスト / 飛砂 / パーティクルカウンタ / 砂漠 / 土壌水分 / 黄砂 / オーストラリア / 気象観測 |
Research Abstract |
平成17年度に、風送ダスト発生全過程の観測装置を気象研究所内の露場で試験運用し、その結果に基づき電源装置、データ取得プログラム並びにセンサーの動作設定温度の改良を行った.次いで、装置をオーストラリア南東部ミルダラ市郊外の休耕地に設置し、オーストラリア側が設置した各種サンプラーと共に、平成18年2月から3月にかけて約3週間にわたる集中観測を行った.その結果、強風に伴う間欠的なダストの発生過程、前線通過に伴う大規模なダスト発生過程並びに降雨前後の異なった表層土壌水分条件下でのダスト発生過程の精密観測に成功した.さらに、同休耕地に可搬型風洞実験装置を設置し、日本が持ち込んだサンドパーティクルカウンタ(SPC)とこれまで欧米で使われてきたSensitとの比較測定を行った.この比較測定では、風送ダスト発生量がある限度を超えた場合、Sensitでは重複信号損失により飛散カウントが実際の飛散数よりも過小評価されるのに対し、SPCでは風速変化に対応した飛散数の測定が可能であり、SPCのフィールドでの有用性を確認することが出来た.また、風送ダストの観測と同時に土壌水分の測定を行い、観測サイトの飛砂と関連性が強い表層(0-0.5cm)における土壌水分量は0.016m^3/m3(最大値0.044m3/m3,最小値0.007m3/m^3)であり,オーストラリアの観測サイトの土壌水分は、中国タクラマカン砂漠の結果と比較すると高いことがわかった.また、2006年3月12日夜〜13日朝に観測された降雨に伴う土壌水分量の変化(0.016→0.042m^3/m^3)を捉えることができた. さらに、絶乾燥砂礫砂漠上で取得されたADECデータを用いてえられた風送ダスト発生過程の解析を行い、砂礫砂漠と砂砂漠における風送ダストの発生過程の基本的特徴を論文(Mikami et al.,2006)として発表した. 2006年7月に加国グエルフ大学で開催された第6回International Conference on Aeolian Researchに参加し,口頭発表2件とポスター発表1件を行った.発表内容は,2006年3月にオーストラリアで実施した観測結果と科振費プロジェクトADECで実施したタクラマカン砂漠における観測結果である.本会議は,Aeolian Researchに特化した4年に1回開催される歴史ある国際会議であり,最新の研究動向について情報収集し,世界の研究者と意見交換を行った. また、2006年11月にオーストラリアのミルダラ市を再訪問し,現地に保管していた大気中浮遊微粒子計測装置3台の検定作業を行った.本装置は,2006年2・3月に実施した集中観測において使用した装置であり,観測結果を解析する際に必要となる各装置の器差の検討を行った.また,オーストラリアの共同研究者と観測データに関する打合せを行い,(1)ダスト発生イベントの切り出し,(2)日本側およびオーストラリア側が行った観測データを照らし合わせたイベントの整理,(3)論文作成のためのデータ整理を行った.また,来年度の現地観測の予定や論文作成の順番・担当を決め,効率的な成果発表に関する共通認識を得た.
|
Research Products
(7 results)
-
-
-
-
[Journal Article] Effect of soil water on sal tat ion process observed in China and Australia2006
Author(s)
Ishizuka, M., Mikami, M., Zeng, F.-J., Leys, J., Yamada, Y., S.Heidenreich
-
Journal Title
Abstracts of Sixth International Conference on Aeolian Research
Pages: 26
-
[Journal Article] Wind erosion process from anthropogenic source areas- a preliminary result of JADE IOP1,2006-2006
Author(s)
Mikami, M., Leys, J., Heidenreich, S., Shao, Y., Ishizuka, M., Y.Yamada
-
Journal Title
Abstracts of Sixth International Conference on Aeolian Research
Pages: 123
-
-