2005 Fiscal Year Annual Research Report
絶縁型被覆導電性高分子を用いた単分子電界発光デバイスの構築
Project/Area Number |
17201024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 耕三 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (00232439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 康博 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特任助手 (30401235)
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Keywords | 高分子構造・物性 / ナノ材料 / 光物性 / マイクロ・ナノデバイス / 有機導体 |
Research Abstract |
我々は最近,シクロデキストリン(CD)という環状分子を可溶性導電性高分子であるポリアニリン(PANI)と溶液中で混合すると,紐状の導電性高分子の回りを環状分子が包み込み,超分子構造体いわば分子被覆導線が形成される現象を見出した。本研究ではPANIの代わりに光機能性をもつ導電性高分子ポリチオフェン(PT)を用いることで,単一分子で電界発光効率の高い絶縁被覆型導電性分子を作製し,これを微細電極間に配線してその単一分子発光素子としての有用性を実証することを目指す。 本年度はまず,CDで絶縁被覆されたPTの合成を試みた。PTはPANIと異なり溶媒への可溶性がないため,モノマーであるチオフェンをCDで包接してから重合を行う手法(包接重合)を採用した。ビチオフェンをメチル-β-CDに包接させたものと,3,4-エチレンジオキシチオフェンを交互に重合し,分子鎖末端を嵩高い分子であるアントラセンでキャップした。得られた合成物はクロロホルムなどの有機溶媒に可溶であり,また^1H-NMRによりPTがCDに包接された分子被覆導線であることを確認した。 次に,合成した分子の共役長を評価するため紫外可視吸収スペクトルを測定した。得られた結果からは,モノマー由来の320nm付近の吸収ピークの他に,より長波長側にシフトした400nm付近のピークの存在が確認された。これは包接錯体が重合して高分子となり,π共役長が伸びたことを示している。しかし,CDの包接率は20%と低く,分子鎖長も10nm程度と短いため,高い電界発光効率が期待できず,微細電極間への配線も現状では不可能である。分子設計や合成手法などのさらなる改良が必要である。 これと平行して,多孔質アルミナテンプレートを用いた絶縁被覆型導電性高分子ナノワイヤの作製も進めている。この手法では絶縁被覆型の低次元ナノ構造体を簡便かつ大量に作製できると期待される。
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Research Products
(4 results)