2005 Fiscal Year Annual Research Report
常温合成フラーレンナノチューブの基礎的性質の解明と電極応用
Project/Area Number |
17201027
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
宮澤 薫一 独立行政法人物質・材料研究機構, エコマテリアル研究センター, 主席研究員 (60182010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須賀 唯知 東京大学, 工学系研究科, 教授 (40175401)
増野 匡彦 共立薬科大学, 薬学部, 教授 (90165697)
周 豪慎 独立行政法人産業技術総合研究所, 電力エネルギー部門, 主任研究員 (60271540)
前田 龍太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, マイクロ実装研究グループ長(研究職) (60357986)
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Keywords | フラーレン / ナノチューブ / フラーレンナノチューブ / 液-液界面析出法 / 常温合成 / 電極 |
Research Abstract |
本課題は、我々が2004年の春に発見したフラーレンナノチューブ(FNT)の基礎物性を解明するとともに、燃料電池などの電極にFNTを応用するための基礎的な知見を得ることを目的としている。FNTとは,文字通り、フラーレン分子から構成される壁構造を持つ中空のナノ繊維であり,溶液中で自己組織的に成長する。FNTの構成要素となるフラーレンは,C_<60>,C_<70>,C_<60>誘導体、金属内包フラーレンなど、あらゆるフラーレン分子が含まれる。 本年はフラーレンナノチューブの合成方法の研究、構造解明および白金触媒の担持を目指した研究を行った。 フラーレンナノチューブは、約100nmの壁厚を持ち、数10nm〜数100nmの内径を持ち、ミリメートル以上の長さに成長する。FNTは、フラーレンのピリジン飽和溶液とイソプロピルアルコール(IPA)の液-液界面析出法(液液法)によって合成することができる。この方法は,C_<60>ナノチューブ(C_<60>NT)の合成においては十分な再現性が得られなかったため,液-液界面を形成後,超音波照射によって意図的に界面を乱してから保管する方法を採用し,さらに,C_<60>とピリジンの結合を促進するため,波長302nmの紫外光を照射する方法を合わせることにより,C_<60>ナノチューブ合成のための再現性を向上させた.C_<60>NT,C_<70>NTは,100nm程度の大きさの内径を持つので,内部に液体や微粒子を入れることができる.実際、塩化白金をアルコールに溶解させて、燃料電池触媒として必要な白金を、毛管現象によってC_<60>NT中に取り込ませることに成功した。担持された塩化白金は、電子線照射によって、数nmの白金クラスターを遊離させた。 また、C_<60>NTは電子線照射すると、700℃まで結晶状態を維持することが分かった。これは高い導電性と比表面積を持つと考えられる。また、この電子線照射したC_<60>NTは著しい高温耐熱性を持つようになることが分かり、燃料電池電極材料として有望であることが予想された。
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Research Products
(10 results)