2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノバブルの安定化および崩壊メカニズムの解明に関する研究
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17201028
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 正好 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (00344151)
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Keywords | 酸素ナノバブル / オゾンナノバブル / マイクロバブル / 表面電荷 / Salting out / 生理活性効果 / 過酸化体 |
Research Abstract |
今年度は主に酸素及びオゾンナノバブルの安定化のメカニズムについて検討を行った。また、ナノバブルを工学的に利用するための基礎研究を実施した。ナノバブルの安定化は、その生成において利用したマイクロバブルの特性から推測することが可能である。マイクロバブルの大きな特徴の一つは電位を帯びている点である。これは気液界面における水の水素結合ネットワークの構成に大きく依存している。すなわち、気液界面における構造の形成因子として水酸基イオンやプロトンがバルクに比べてより多く関与しており、特にその傾向は水酸基イオンに著しいため、通常のpH条件下では界面がマイナスに帯電している。また、静電気的な作用によって、水中の電解質イオンがその界面に引き寄せられて電気二重層を形成している。これらのイオン類の水中における動きはさほど早くはないため、ナノバブルの生成において、マイクロバブルを圧壊(強制収縮)させたときにイオン類が界面に極めて高濃度に濃縮する。これらのイオン類が殻のように気液界面を取り巻くことにより、Salting out現象が作用して内部の気体が周囲の水中に溶解できなくなり、その結果として気泡が安定化する。これがナノバブルの安定化メカニズムである。ただし、過剰に界面に濃縮したイオン類自体がどうして数ヶ月以上の長期にわたって安定化しいるかについては不明である。また、酸素ナノバブルには生物を活性化させる効果があることが分かり、医療やバイオ分野においての応用研究をスタートしている。その効果のメカニズムとして、内部に含まれていると考えられる気体状の酸素が関与しているのではなく、気液界面に極めて高濃度に濃縮したイオン類が重要な役割を担っている可能性が高い。一方、オゾンナノバブルについては界面に濃縮した電解質イオンがオゾンや生成時の圧壊の影響を受けて過酸化体として存在しいることが明らかになった。気泡内部のオゾン自体を確認することは現状では困難であるが、過酸化体としてのイオンと気泡内のオゾンとの相互保持効果が作用している可能性が考えられる。また、この様な特異な構造がオゾンナノバブルの持つ安定性と強力な殺菌効果に影響している可能性が高い。
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Research Products
(1 results)