2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17201033
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河田 聡 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30144439)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / ナノ材料 / 応用・光学・量子光工学 |
Research Abstract |
2光子重合で形成されたナノサイズの重合樹脂は、バルクの樹脂に比べ弾性率が3桁程度低いことを実験的に見いだした。この原因は、(1)2光子重合では重合度が低い、(2)おなじ樹脂であってもナノサイズまで微細化すると弾性が変わる、(3)そのほか重合樹脂表面で生じる周囲媒質との相互作用、などが考えられる。(1)の要因について検証するため、2光子光重合加工法によって作製される直径100nm以下の重合樹脂の重合度をラマン顕微分光法によって評価した。炭素間2重結合はモノマー分子に含まれており、ラマンスペクトルでは1640cm-1にピークを示す。重合反応が生じると結合の一方が切れて2重結合が消滅するため、このピークが重合反応の進行度の指標となる。そこでレーザー光の強度、照射時間など、加工条件と1640cm-1でのラマン強度との関係を調べた。また、2光子重合で構造を作製・現像した後、UV光を照射し、構造内に含まれる全てのモノマーを完全に反応させた時の弾性率を評価した。UV照射によって弾性率は数倍上昇したが、バルク樹脂が持つ3桁高い値には到達しなかった。この結果から、2光子重合で形成される樹脂の重合度が低いことだけではナノサイズの樹脂が持つ低い弾性率を説明することができないことが分かった。(2)の要因について、同じ加工条件で直径の異なるスプリング構造を作製し弾性率を測定する実験を行っている。さらに、温度を変えながら弾性率を測定し、重合樹脂のガラス転移温度を測定する実験を行っている。また、アゾベンゼン系誘導体を含む光硬化性樹脂を作製し、光異性化反応によって体積変化の特性を持つ機能性樹脂の開発を行った。2光子光重合加工により材料を重合硬化し、その後UV/可視光の照射によって樹脂内のアゾベンゼン誘導体の異性化反応を繰り返し誘起することに成功した。
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Research Products
(3 results)