2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17202003
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
篠田 知和基 Hiroshima City University, 国際学部, 研究員 (00022260)
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Keywords | 天空 / 神話 / 星 / 月 / 太陽 / 昔話 / 伝説 / 民間信仰 |
Research Abstract |
世界神話のコスモロジーを天空神話にしぼって考察し、7月と1月の二回シンポジウムを開催した。7月のシンポジウムは「星空のロマンス」と題しフランスからグルノーブルのフィリップ・ワルテル、パリからアンナ・カヨゾ、台湾から陳鏡羽ほかを招聘、甲南大学で開催し、発表原稿を原稿集として印刷・配布した。そのなかのいくつかは共同研究書とするべくまとめて10月に研究成果公開促進費を申請した(不採択となった)。これは原稿をみなおして再申請する予定である。1月は天空の神話の総括として国内シンポジウムを南山大学で開催、活発な議論をおこない、そのほとんどの原稿をもとにして二冊目の共同研究書「天空の神話一風と鳥と星」(700p)としてまとめた。 この二度のシンポジウムでは、伊勢神宮にスバル神の信仰があったこと、伊勢の朝熊山の金剛証寺にはアマテラスが明星天子として天下った伝承があることなど、さまざまな興味深い事実が紹介された。また沖縄の天空信仰、台湾の原住民における月神話、日本神話を星座からよみとく試み、スラブの月信仰、中世オリエントの聖典にみられる天空への旅の様相、ベッレヘムの星をめぐる民間伝承、さらにアメリカ先住民の神話における星と人間との婚姻譚をめぐるレヴィ=ストロースの考えの問題点などについても数々の示唆にとむ発表と議論がおこなわれた。個々の研究者はインドネシア、オセアニア、インド、中国、アメリカ、ヨーロッパへ調査におもむき、その成果を研究書やシンポジウムでの発表で紹介した。 この間の成果は雑誌「アジア遊学」の特集号「天空の神話」でちかく発表される。そこでは世界の神話において「天空神」が「暇な神」とされるというエリアーデの論の見直しなどがされている。
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Research Products
(5 results)