Research Abstract |
平成18年度は,前年の研究成果にたち主にヨーロッパ史研究者の協力を得て,各種の研究会,シンポジウム,チェコでのワークショップを開催し,本テーマに関わる方法と研究状況について集中的に検討するとともに,各自が史料収集と調査研究精力的に進めた。 研究チームは,5月から7月にかけて,(1)近世ヨーロッパにおける「良心の自由」と宗教的マイノリティ,(2)「ヨーロッパ」・近代国家における辺境/マイノリティの創出,(3)オスマン帝国における臣民概念と近代化の班で研究会を行うとともに,9月17日には,EUIJとの共催国際シンポジウム「EU拡大とヨーロッパ・アイデンティティ」第三部会(東京外国語大学)に,チェコ,ウクライナ,ポーランドの研究者を招いて,「歴史学と歴史意識の変容」と題し,近年の中東欧における歴史学の実情と問題意識について討論を行い,関係するワークショップを組織した。 これらの研究会,シンポジウムの成果をふまえて,平成19年3月21日〜3月29日,立石,鈴木義,篠原,佐々木,工藤,千葉をチェコ・プラハに派遣し,チェコ科学アカデミー哲学研究所で国際ワークショップ「マイノリティとヨーロッパ」を開催し,あわせて各自が現地での史料収集と現地調査を行った。このワークショップでは,3月22日,千葉が「中世ヨーロッパにおける辺境とマイノリティー東方植民におけるマイノリティ創出過程」,佐々木が「ジェンダーとアメリカ南北戦争」について報告し,チェコからはU.ウルバーネクが「近世における宗教的ディアスポラ」を報告し,立石,鈴木,工藤がコメントを,篠原が司会を各人,全日英語にて行った。この国際ワークショップは,平成17〜18年度の研究会,ワークショップ,史料調査の成果を総括し,最終年度へ向けて方法論的・史料的な課題を検討する貴重な場となった。
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