2006 Fiscal Year Annual Research Report
国際司法裁判所における判決形成過程から見た判決及び判決理由に関する基礎的研究
Project/Area Number |
17203005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥脇 直也 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (60108199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 滋 東北大学, 法学部, 名誉教授 (80004141)
村瀬 信也 上智大学, 法学部, 教授 (80062660)
植木 俊哉 東北大学, 大学院法学研究科, 教授 (00160151)
河野 真理子 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90234096)
酒井 啓亘 京都大学, 大学院法学研究科, 教授 (80252807)
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Keywords | 国際裁判 / ICJ / 国際紛争処理 / 国際裁判法 / 判決形成過程 |
Research Abstract |
2006年度は判例研究を通じて、小田裁判官が判事として関わった事件の検討をほぼ終了した。またこれらを通じて得られた所見を元に海外調査を実施し、研究分担者2名を海外に派遣し面談調査をおこなった。2007年度はそれ以前・以後の判例の読み直しにも取りかかる予定である。なお小田元裁判官所蔵資料の整理は半分超を終了した。今年度を含めて、3年度にわたる共同研究を通じて、国際司法裁判所の判決形成過程について、研究会参加者の間に共通の認識をもつことができた。そこで以後は、判例研究を継続しつつ、研究成果のとりまとめに向けての原稿執筆を併せて行う。なおその大まかな編集方針を研究分担者間で討議の上、以下のように作成した。2008年度内に著書『国際裁判法の研究』(仮題)として刊行する予定である。 第一部「国際裁判法」総論・各論 ・国際司法裁判手続法の制度と運用の重要問題を包括的に取り扱う(規程のコンメンタールではないが、規程の解釈・適用と実際の運用との関係を明らかにして、裁判所の実践のなかから判決形成の実際の姿を受け上がらせるように工夫する)。 ・裁判の実体判断と手続との関連性を可能な限り明らかにする(たとえば証拠の取り扱いや欠席裁判が裁判所の実体判断にどのような制約をもたらしているかなど)ことに心がけ、そのために必要な実体判決の解説も第2部の事件別資料的インデックスに対応させつつ、個別事件における判決(結論)に影響を与えている要素を明らかにするという観点から、比較的詳しく解説する。 ・各手続法の課題がどのような形で判決形成の過程に影響をあたえまた逆に手続法が判決形成をどのように枠づけるかを明確にする。 ・各手続法の問題が具体的に表れた判決理由部分を取り上げて、第2部の資料的インデックスと対応させつつ、規程の解釈適用に関する資料的な意味を充実させる。 ・後続判例の先行判例の引用についてはできるだけ詳細にチェックし、とくに同一項目に関して規程の運用や判例法の変化がある場合には、それが何故生じたかについて、事件の特性・差別化の論理、裁判官の構成、国際社会における規範秩序の変動などの要因についても考察をしておく。 ・成果物は個別論文とコンメンタールの中間の性質をもつようにし、規程に関係づけた制度的な解説、規程の解釈・適用との関連を明らかにし、将来の国際裁判研究の基本書となるようにするとともに、日本の外交実務による使用にも耐えるようなものをめざす。 第2部「事件別資料的インデックス」 ・個別の判例についてその事件の当事者、裁判官、弁護団などに加え、事件の政治的文脈との関係、判例形成に至る手続的流れ、当事者の弁論の特徴、紛争主題の特定・請求の変化、判決後の紛争処理(post-adjudicatory phase)の特徴などについて、判決形成や紛争処理の流れを客観的に理解できるように工夫する。 ・第1部の事項別の執筆のための共通の前提として参照できるようにするために、とくに事項別で取り上げるべきと思われる部分には注番号を付して、関連事項を記入しておき、当該事項の担当執筆者が容易に関連事項を検索できるように工夫する。 *なお可能なかぎり他の国際裁判手続とも比較することにより、国際司法裁判所の特質をより明らかにする。
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Research Products
(29 results)