2005 Fiscal Year Annual Research Report
市場環境・生活環境の秩序形成における公私の協働-《公共圏》の実定法学的構造
Project/Area Number |
17203007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 克己 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20013021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 善之 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20197586)
稗貫 俊文 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70113610)
瀬川 信久 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10009847)
潮見 佳男 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70178854)
伊東 研祐 慶應義塾大学, 大学院・法務研究科, 教授 (00107492)
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Keywords | 外郭秩序 / 競争秩序 / 環境秩序 / 消費者法 / 公私協働 / 公共性 / 損害賠償 / 差止 |
Research Abstract |
研究の初年度である今年度は、次のような活動を行った。(1)全体研究会開催による問題意識の共有。(2)分担者以外の研究者を招聘しての研究会開催(3回)による問題意識の深化。(3)前期基盤Aプロジェクトが開催した2回のシンポジウム(競争秩序と環境秩序を対象にする)の成果公表のための作業(いずれも北大法学論集に公表済)。(4)全体シンポジウムの開催(1回。テーマ「消費者法における公私の協働」)、(5)現地調査による外国の問題状況の把握(3名を派遣。対象国:スイス・ドイツ、アメリカ、フランス)。(6)HP開設による研究成果の発信。以上の作業を通じて、次のような知見を獲得しつつある。 1)競争秩序および環境秩序といういわゆる「外郭秩序」(本研究が《公共圏》と想定した法領域)においては、民事法および公法だけでなく刑事法も含めたさまざまな法制が法秩序確保のために機能している(法の競合)。しかし、そこで《公私協働》が確保されているかというと、現状はそこまで到底いっていない。そのためには、従来の法のパラダイムを超えるための法理論的検討が要請される。2)「外郭秩序」以外の領域(従来の法パラダイムが支配する「中核的秩序」の領域)においても、法の競合は見出される(消費者法に関するシンポジウムで強調された知見)。これと「外郭秩序」における問題状況の異同は、今後検討すべき重要な理論的課題である。3)西欧先進諸国においても、競争法と環境法を中心としつつ、日本と類似の問題状況が見出されるよううになってきている。そして、そのような新たな問題状況を分析する理論的業績も、いまだ多くはないが、見出されるようになってきている。この動向の全体的把握も、本研究プロジェクトの重要な課題である。 次年度以降、外国との人的交流を図りつつ、以上の理論的課題を深化させるつもりである。
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Research Products
(51 results)