2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17203018
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 公明 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10007148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 正輝 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30156608)
長谷部 正 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10125635)
小林 一穂 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (20150253)
照井 伸彦 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50207495)
福山 敬 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (30273882)
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Keywords | 効用 / 幸福の経済学 / 社会的不平等 / 潜在能力 / 満足度 / 地域間の交通ネットワーク / 都心の空洞化 / 少子高齢化 |
Research Abstract |
<新地域システム原論構築>班:「効用」は「幸福」あるいは「福祉」を表すか?の問題提起の下で、アマルティアセンの著作を徹底的に読みこむことを行った。あわせて、「幸福の経済学」に関するブルーノ フライとアロイス スタッツアー等の著作を手がかりに、「幸福」は個人の消費計画のみならず、環境、犯罪、貧困、社会的不平等、差別などの「状態」の組み合わせに依存することを確認した。「幸福」度を積極的に測定すべきであり、そのためにはセンの「潜在能力」の概念を測定可能なものに発展させる必要がある。上述の「幸福の経済学」では一人あたりGNPがある水準以上に増加しても「満足度」は増加しないことを、マクロの時系列およびマクロの国際横断面データによって示唆している。この仮説をミクロのデータを用いて、より統計学的に厳密に検定を行う。そのための統計的モデルとして、threshold utility functionを設定する準備を開始し、2006年度に継続することとした。 <都市地域ネットワーク形成>班:日本における地方中小都市を活性化する施策を用意する視点から、福島県会津市をケーススタディの対象とした。住民生活の多様化、地域間競争の激化、少子高齢化な地方中小都市の共通の現象である。会津では産業では製造業の空洞化が進み、卸売り業も縮小の傾向である。その中で停滞する市街地を活性化する取組が、特定個人の情熱から出発し、町づくり協議会を中心としたネットワークの拡大が試みられている。行政もそのような活動に対して補助金を与えて奨励している。会津市では一部この再生活動が成功しているが、その成功の要素は、住民がその地域の「資源」を正しく評価すること、強力なリーダーが存在すること、住民間の意見交換が頻繁であり新しいアイディアが生まれること、他の地域と連携すること、行政の協力が挙げられる。 <地域環境計画・評価>班:街並み風景形成の解釈について、主客合一の発想に基き、過去と今を繋いで製作される歴史的風景世界が「物語り」の世界であることを認識した上で、西田幾多郎の行為的直感の概念を取り入れて街並み風景の形成に関する理論的枠組みを検討し、山形県金山町の事例に適用した。特に、景観形成政策に携わった役場職員の発想と行為を解釈した。その結果、職員の正義の次元と責任の次元が明らかになった。風景「物語り」の共有が最も重要な行為である。
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Research Products
(15 results)