2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17203018
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 公明 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10007148)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 正輝 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30156608)
長谷部 正 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10125635)
小林 一穂 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (20150253)
照井 伸彦 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50207495)
福山 敬 鳥取大学, 工学部, 教授 (30273882)
|
Keywords | 効用 / 幸福の経済学 / 社会的不平等 / 潜在能力 / 満足度 / 地域間の交通ネットワーク / 都心の空洞化 / 少子高齢化 |
Research Abstract |
「地域システム原論構築班」において、「幸福関数」がどのように形成されるか(実証)とどのように形成されるべきか(規範)を検討した。特に、「国民生活に関する世論調査」の昭和36年から平成18年までの期間のうち実際に調査がなされた44年分の集計データ・を利用して「幸福関数」の推定、分析を試みた。個票データが公表されていないので、1年分の調査結果から4個のデータしか得られない"非効率性"が存在するが、止むを得ない。各変数のデータの利用可能期間や変数の組み合わせを考慮して、約100本前後の推定がなされた。その主要な結果は次のように纏められる。 (1)これまでの国内外の同様の研究結果と異なり、30歳代、40歳代の幸福度が高い。これを説明する仮説は、日本人は仕事の働き盛りの年代に仕事をやり遂げることによる幸せを感じるというものである。(2)職種は幸福に影響しない。(3)生活水準の自分の相対的地位は幸福度に大きな影響を与える。(4)心の豊かさ、物質の豊かさの価値観について、前者の係数は+、後者の係数は-、両方+の場合は前者の方が大きい。(5)現実の生活充実度は幸福の重要な要因になっている。(5)去年と比べた生活の向上度は今期の幸福度に大きな影響を及ぼさない。(7)将来の見通しが現在より悪くなると悲観的に予測する人は現在の幸福度を低下させる。しかし、良い見通しは現在の幸福度を必ずしも上昇させない。ある種の非対称性がある。(8)結婚、非結婚の間で幸福度に与える有意な差はない。(9)幸福度は所得満足度の「単調増加」関数である。 次に所得満足度と所得水準の関係を分析すると、所得水準が増加すると、"欲求水準"も増加し、満足度が増加しないという仮説が当てはまる所得階層(家計所得が500-1000万円)が存在しそうである。社会環境が幸福度に与える影響に関して、所得分配と失業率を取り上げる。不平等度の増加は幸福度を低下させる。つまり、人々は社会の不平等を嫌う。失業率の増加は幸福度を有意に低下させる。そしてその影響は不平等度の影響よりも大きい。失業は所得の喪失と社会貢献の機会を奪うからである。
|
Research Products
(28 results)