2006 Fiscal Year Annual Research Report
現代人の価値意識と宗教意識の国際比較研究-脱欧入亜の視点から-
Project/Area Number |
17203036
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大村 英昭 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30047485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真鍋 一史 関西学院大学, 社会学部, 教授 (90098385)
川端 亮 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00214677)
吉野 諒三 統計数理研究所, データ科学研究系, 教授 (60220711)
大岡 頼光 中京大学, 社会学部, 助教授 (80329656)
山 泰幸 関西学院大学, 社会学部, 助教授 (30388722)
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Keywords | 価値意識 / 宗教意識 / 質問紙調査 / 事例調査 / 全国調査 / 沖縄・石垣島調査 / 台湾調査 / 米国・オレゴン州調査 |
Research Abstract |
研究組織は「質問紙調査(量的調査)班」と「事例調査(質的調査)班」からなっている。まず前者のグループは、前年度からの「文献・資料の収集と整理」と「質問紙調査のraw-dataとdocumentationの収集と整理」を継続するとともに、とくに日本の調査研究の成果を踏まえて、日本におけるreligiosityの概念化(conceptualization)と操作化(operationalization)を進めてきた。そこでの問題関心はつぎのようなものである。 1980年代以降、「世界価値観調査(World Values Survey)」や「国際社会調査プログラム(International Social Survey Programme)」などの、人びとの価値観に焦点を合わせた大規模な国際比較調査が実施されるようになってきた。これらの質問紙調査では、その中心に「宗教意識」が位置づけられてきた。その結果、欧米の国ぐににおいては、宗教意識は人びとの価値・信念・態度と強く結びついているが、日本ではそのような傾向は見出せないということが検証されてきた。「無宗教の国・日本」というフレーズが一般化してきたのも、このようなコンテキストにおいてである。しかし、それは欧米型の宗教観にもとづくからであって、「日本的霊性」などの日本独自の宗教意識を射程に入れて検討するならば、必ずや別の側面が見えてくるに違いない。このような問題関心から、「価値観と宗教意識」に焦点を合わせた「全国調査」が企画された。調査設計は以下のとおりである。(1)母集団:全国20歳以上の男女、(2)標本数:1,800人、(3)標本抽出法:層化2段無作為抽出法、(4)調査方法:留置記入依頼法、(5)調査時期:平成19年3月。 つぎに後者のグループは、前年度の韓国・タイ、それに米国のカリフォルニア州およびハワイ州での「フィールド(インテンシヴな聞き取り)調査)」の成果にもとづきながら、前者のグループの研究成果であるreligiosityの概念化と操作化の再検討を行なった。さらに、上述の全国調査の質問項目として、(1)世界の都市部で進行している火葬化の動向に鑑みて、「散骨」などの遺骨灰の処理が具体的にどうなっているかに関する項目、(2)いわゆる先進諸国のペット・ブームに鑑みて、ペットの死に臨んで具体的にどのような宗教的行動をしたかに関する項目、を含めることを提案した。また、このグループの独自のフィールド調査としては「もともと埋(土)葬が中心の国ぐにで、火葬化が進展すると人びとの伝統的な宗教感情に深刻な葛藤状況が生じる」という韓国調査からの知見にもとづき、沖縄そして石垣島など南部の島々に今も見られる複葬制を観察・記述するとともに、台湾の高雄、台中などもとは同じ複葬制をとっていた地域の現在の状況を調査した。さらに、米国において「エンバーミング」と呼ばれる遺体を飾って葬送する伝統的方式が、火葬化などの進展で揺らぎ始めていることをオレゴン州での実地観察をとおして記述してきた。
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Research Products
(10 results)