2007 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解光電子分光用光源としての高次高調波ビームラインの開発と評価
Project/Area Number |
17204033
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関川 太郎 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (90282607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 幹雄 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10240631)
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Keywords | 高次高調波 / 光電子分光 / パルス幅計測 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超短パルスレーザーの高次高調波を時間分解光電子分光の光源として確立することである。高次高調波を光電子分光へ適用する際の問題は、複数の次数が同軸上に発生すること、及び時間幅の評価法である。今年度は、アト秒パルスにも適用できる新しい高次高調波パルスの時間波形評価法を開発し、実証した。 評価法の原理は以下の通りである。アルゴン原子やネオン原子は、スピン軌道相互作用によりイオン化エネルギーが二つある。そのため、コヒーレント光源である高次高調波パルスを照射すると、中心周波数の異なる光電子波束対が発生する。ここで、中心周波数に対する位相関係は同じであることに注意すると、同じ運動エネルギーを持つが2つの異なる位相をもつ光電子波束が存在することがわかる。そのため、これらの光電子波束は干渉し、光電子スペクトルに位相差に応じた干渉項が現れる。イオン化エネルギーが1つであるヘリウム原子の光電子スペクトルからスペクトル強度を得ると、位相差を抽出することができ、スペクトル位相を再生することが出来る。光電子スペクトルを計測するだけでスペクトル位相を決定できるため、非常に高感度にスペクトル位相を決定できる。 実験としては、パルス幅36fsのチタンサファイアレーザーの19次高調波の測定を行った。3.7fsのパルス幅をもつ高調波が発生していることを見出した。その発生メカニズムを考察するとともに、レーザー光のもつチャープが発生する高調波に与える影響も実験に調べた。今後、新たに、アト秒パルスの計測へ発展させられる成果である。
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Research Products
(7 results)