2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高温高圧下でのマントル鉱物の熱膨張率測定によるマントルの断熱温度勾配の見積もり
Project/Area Number |
17204036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
桂 智男 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 助教授 (40260666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 英司 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 教授 (00033259)
米田 明 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 助教授 (10262841)
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Keywords | 熱膨張率 / X線その場回折 / 高温高圧 / ペロフスカイト / ワズレアイト / フォルステライト / 断熱温度勾配 / 地球内部 |
Research Abstract |
今回の研究では、まず、高圧X線回折の手法を改良し、圧力を0.03GPa、格子定数を0.0003オングストロームの精度で決定することを可能にした。この手法を用いて、以下の三つの物質に対して高圧熱膨張率測定を行った。 第一に、下部マントル主要構成鉱物であるMgSiO_3ペロフスカイトに対して、温度圧力条件300-2300K・17-30GPaで測定を行った。下部マントル最上部の温度圧力条件(24GPa・1800K)では、この鉱物の熱膨張率は3.5×10^<-5>/Kである。マントル遷移層下部を構成するリングウッダイトの熱膨張率(2.4x10^<-5>/K)よりかなり大きい。その圧力依存性は大きく、熱膨張率の対数体積微分は10.6である。 次に、上部マントル主要構成鉱物であるMg_2SiO_4カンラン石に対して、温度圧力条件300-1900K・3-16GPaで測定を行った。その圧力依存性は比較的大きく、対数体積微分は5.6である。 そして、マントル遷移層上部の主要構成鉱物であるMg_2SiO_4ワズレアイトに対して、温度圧力条件300-1700K・11-19GPaで測定を行った。常圧での熱膨張率はa_0=1.97X10^<-5>+1.32X10^<-8>(T-300)と見積もられ、その対数体積微分は4.4(2)であった。マントル遷移層中部の温度圧力条件(15GPa&1700K)では熱膨張率は2.8x10^<-5>/Kである。これは、リングウッダイトの熱膨張率(2.4x10^<-5>/K)よりやや小さい。
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